本性 ページ3
「へー、こっち方面なんだぁー。同じだね」
ほわんと景色を眺めてブツブツ何かと喋っている。
てきとうに頷いて、その場をしのぐ。
「ってことは家も近かったりして、むふふふふふ」
勝手に妄想して変な笑い声をあげるから、背中にパンチを入れた。
情けない声を出した天宮くん。
私は思わず吹き出した。
「あ〜おもしろ。ドゥブだってさ。ハハハ」
顔をちらっと見たら、赤面して、恥ずかしがっているようだ。
「ねえ、こっち向いて?」
「へ?」
はてなを浮かべてもう一度見ると、ぼっ…と顔が真っ赤になった。
「わ、わああああぁぁぁぁぁ!!ヤバイヤバイ!!かわいいぃぃぃ!!きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
…ん?!何何?!
人はあまりいないからいいものの、急に暴れる天宮くんに、ドン引きする自分。
「あ、いやね。ニコニコ笑ってる顔がかわいいからさ。むふふふふふっ。」
「あっそう」
軽蔑して溜息をついた。
「ねえ、抱き締めてよろし?」
…は? 何こいつ。頭無いの?
いや、普通に引くんですけど。
顔が良くなきゃ、ソク通報からの高校生活終了ですよ。
「…え、無理。」
「無、無理?嫌じゃなくて無理?」
「うん。無理です。ご了承下さい。」
「えええええぇぇぇ!」
うるさい。
人生の終わりのような声で、頭を抱えた。
何ナノまじで。
「あなたみたいな変態に私の初ハグを奪わせる権利はありませぬ。」
「へえー、初ハグってことは、もしかして…」
「彼氏なんていないけど。何か?」
「うぅぅいいねぇ」
良くないから。
とにかく、家が近づいてきたから、走って走って逃げ出した。
……何だったんだ。天宮くんって人。
そして、私達の恋愛学園コメディーは始まった。
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作者名:にゃんこぱす | 作成日時:2020年7月31日 20時