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久しぶりにあった臣くん……。課長と付き合いだしてから忘れなきゃ諦めなきゃずっと心の奥に閉まっていた恋心。
「久しぶり」
と言われれば事務的な挨拶をしてしまう。
『 お久しぶりです。 』
目を逸らして臣くんの顔見ない様にするのが精一杯だった。
「 なんで目逸らすの!? 」
『 ……。 』
「 言えねぇ理由あるの? 」
『 久しぶりすぎてどうしたらいいか分からなかっただけで……。理由なんてないです。 』
「 そっか。 嫌われたかと思った。 」
嫌われるのは私の方だと思う。
私に向けてくれる笑顔に私は答える事ができなかった。
『 マスターごちそうさま。そろそろ帰ります。 』
「 もう帰るの!? 」
『 ……は……い……。彼……少しでも門限破ると凄く怖いんで…』
「 そんな人に見えなかったんだけど……。 」
『 優しくみえるだけです。 』
この関係何時まで続くんだろ……私から断ち切らないとズルズル続くだけ。
「 そんな奴のとこ帰る必要ないじゃん。 」
『 ……帰らないと私……家に入れてもらえれなくなるんです。 』
「 最低なヤツじゃん。自分に自信ないんだな。
じゃ、俺の家にこればいいじゃん。 」
『 それは臣くんに迷惑かける事になるんで……ダメです! 』
そう……臣くんに迷惑かけちゃダメ。
彼が嫉妬深くて私を叩くなんて言えない。
それは彼が私を無理矢理抱いた次の日から始まった。
私の身体には無数の傷痕が残っている。
自分なりの愛情表現だと言うように縄で叩かれた。
私が我慢すれば他の人には牙を剥かないはず。
臣くんに危害ださせるわけにいかない。
『 じゃ、帰ります。』
「 Aちゃん、臣に送ってもらえば? 」
『 大丈夫です。 』
頑なに断る私を見て臣くんは席を立つと私の手をとって席から立たせ私に微笑んだ。
「 女の子を一人で帰らすわけにいかない!送るから! 」
『 えっ?あの本当に大丈夫なんで心配しないで下さい。 』
彼が何処で見てるか分からない。
今日は実家に行こう。あの家に帰れば私はきっと……自由がなくなる。
「 そんなわけにいかないじゃん。 俺そんなチャラく見える!? 」
『 そんなんじゃなくて……。 』
「 マスターチェックで!! 」
臣くんがスマートに会計をして私の手をひいた。臣くんの熱が私の手に伝わって来る。このままどこかへ行ってしまいたい。臣くん私を攫ってくれないかな…。
貴方とならどこへでも行ける。
このまま攫って……。
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作者名:結那 | 作成日時:2018年9月19日 0時