lesson18 ページ18
登坂さんが調子悪いと言われても……。
私に何が出来るんだろう？
やっぱり記憶を戻すのが一番いいんだろうな。
『 なんで戻らないのかな⁉どうすれば戻るの？ 』
そんな時、会ってはいけない人に会ってしまったんだ。
その人は私を見て笑った。
「 元気だった⁉俺の事覚えてる⁉ ｣
覚えてるはずない相手なのに……身体は覚えてるのか震えが止まらない。
誰か来て助けて……震える手をナースコールに置いて連続で押していた。
「 迎えに来たんだよ。一緒に帰ろう‼ ｣
『 誰⁉ 』
頭はパニックで真っ白になってて、必死にナースコールを押していた。
ナースコールから声が聞こえて私はただ押しつつづけた。
誰かお願い早く来て‼
「 俺はキミの婚約者だよ⁉キミを迎えに来て当たり前の事をしてるだけだよ！ ｣
私の婚約者⁉
いたの婚約者なんて……。でも、危険な感じがする。ナースコールの異常に気がついた看護師さんが気がつき病室に来て固まっていた。
婚約者って名乗る彼が私を抱きしめていたから……。
『 助けて‼怖い……違う……。誰か分からないんです。』
「 えっ⁉でも…… ｣
抱きしめていた彼が切ない顔をして髪をかきあげた。
「 なんで⁉こんなに好きなのに……思い出してくれないの⁉ ｣
分からない。本当にこの人が私の婚約者か⁉
「 あのぉ⁉私達戻るので何かあったら、また呼んで下さい。｣
「 お騒がせしてすみません。……わかりました。 ｣
おもい出したくない人を私は思い出してしまうのか⁉私は、ゆっくりその人から離れた。
彼に抱きしめられた時……違う人が私の頭をかすめた。
登坂さん……。
早く思い出したい。
目の前にいる彼は私の本当に婚約者なのか⁉
今日も、やっぱりモヤがかかってパチンとシャボン玉のように記憶は無くなった。
何時になったら全部戻るんだろう⁉
「 俺が戻してやるよ‼登坂に何か絶対渡さない。 ｣
『 ……… 』
「 キミは俺の大事なペットだよ！逃がさない。記憶がなくてもいい俺の所へ戻っておいで。 ｣
うっすら笑みを浮かべ私を見る彼は誰かに挑戦しているかのようにみえた。
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作者名：結那 | 作成日時：2018年9月19日 0時
