lesson13〜広臣〜 ページ13
まさか……俺の前で彼女が傷つけられるなんて
思いもしなかった。
あの後、『離さないで』って言った彼女を家に連れて帰りたいとさえ思った。
そのまま連れて帰ったら……俺が俺じゃなくなるそう思った。
「 送るから! 」
『 ……臣くん。お願い離さないで!! 帰りたくない。 』
「 ちゃんと話せば分かるかもしれない。送った後、ちゃんと話すから 」
『 話してわかる相手じゃないの!もう彼は人じゃない嫉妬に支配された悪魔のような人! 』
彼女を信じれば良かったのかもしれない。
嫉妬に支配されてしまった人間は話しても無駄なんだと今そう思える。
タクシーに乗り彼女のマンション前に降りた所で周りを見渡した。
俺のマンションの向かいに彼女達が住むマンションがあった。
俺のマンションの向かいって……。
彼女と俺がそこまで信用できないのか?
「 こんなに近くに住んでたんだ。」
『 此処に来たの最近なんだ。彼、臣くんが此処に住んでるってHIROさんから聞いて……私と臣くんが自分に黙って会ってるんじゃないかって……今日は実際にそうだけど。会っても冷静に話しが出来るかわからないし……。送ってくれてありがとう。 』
エントランスまで臣くんと歩いて行くと、エントランスの外に長身の影。
「 おかえり 」
『 あっ……。 』
「 登坂さん…送っていただいてありがとうございました。A遅くなるなら連絡しろよ心配するだろ!? 」
Aって言うんだ。
普通に見える彼氏だけど……そう思ったのは束の間。
『 やッ、止めて!髪ひっぱらないで……嫌ッ!離して。 』
目の前で彼女の髪をひっぱっり頬を叩こうとしている男の姿。
「 ちょ……何してんですか!! 」
『 臣くん、ダメ来ないで!臣くんまで傷つけられる!! 』
躊躇している暇なんかなかった。
助けたい。ただ彼女を助けたくて彼女の腕を掴んでた。
「 登坂さん、貴方Aのなんなんですか? 」
「友達……。いえッ彼女は俺の好きな人です。貴方は彼女に手を出してはずかしくないっすか?」
「 コイツ言っても聞かないから、つい手がでてしまって……。 」
「 女性に手出すなんて最低っすね!彼女、嫌がってんじゃないっすか! 」
「 Aは俺のもんだ。誰にも渡さない! 」
もう何言っても無理だ。掴んでいた彼女の腕をとって逃げようとした時……悪魔のような笑みを浮かべたその男は俺にむかって鈍器を振りかざした。
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作者名:結那 | 作成日時:2018年9月19日 0時