シンデレラガール

おまけ(2) ページ49

登坂さん…。
今日は何処なんだろう⁉
剛典は映画の撮影って言ってたっけ⁉
聞いてなかった。とりあえず事務所に行こっかな。


はぁぁぁ〜気が重い。
事務所の入り口……で躊躇してると服を沢山持った女性(ひと)に声をかけられた。

「 事務所に用事があるんですか⁉それとも個人的な面会⁉ ｣


「 登坂さんに…… ｣


「 広臣に…… ｣


えっ⁉この女性(ひと)登坂さんの彼女⁉さっき、「 広臣 ｣って…。
なんだ……私が悩む必要なかったんだ。
剛典、分かってたのかな⁉
ちゃんと整理してこいよって言ったのは……こういう事だったんだ。

「 あの…勘違いしないで下さいね‼ 登坂さんが好きってわけじゃないんで。 ｣


「 そうですか。 ｣


声をかけてきた女性(ひと)は肩を落とした。
好きじゃないのに……何だろう⁉モヤモヤしてる。剛典がいるのに……どうしちゃったんだろう⁉私。


『 莉沙⁉どうした⁉ 』


「 広臣……。広臣と話しがしたいって方がおみえよ⁉ ｣

登坂さん……。スタイリストさんと付き合ってるんだ。登坂さんと莉沙って呼ばれた彼女が笑顔で話してるのを見た私は……口を手で塞いだ。
私、動揺してる。なんで……目から暖かい滴が零れ落ちた。
泣いてる。
だって、私には剛典がいるんだよ！なんで泣いてるの⁉今更気がついたの⁉
登坂さんが好き⁉


違う。酔った勢いで登坂さんと結ばれて……登坂さんは私にちゃんと告白してくれたのに…私が逃げたんだ。
このままでいいの⁉私、剛典と結婚出来ない。
最悪だ。
でも、向き合わないと……曖昧なまま終われない。


『 あっ、キミ…… 』


「 お久しぶりです。登坂さん… ｣


『 最低なヤツって思った⁉ 』


「 えっ⁉ ｣


『 俺が声かけて付き合う事になったんだ。莉沙と‼』


「 そうなんですね‼あの今更ですけど……私、登坂さんの事好きって気づきました。突然ですみません。気持ちだけ伝えて…おきたくて。登坂さんに迷惑かけるつもりないんで。 ｣


『 ……岩ちゃんは…この事知ってるの⁉ 』


「 分かってると思います。『整理してこいよ』って言ってくれたの剛典なんで。 ｣


剛典と一緒にいるとホッと出来た。でも、今この気持ちに気づいて…剛典の事傷つけるかもしれない。登坂さんも……。
シンデレラなんてもう終わり私は普通のアラサー。やっぱり夢だったんだ。整理できた。
剛典にお別れ言おう。
これが私の答えだ。

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