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陸拾参頁─孤影悄然 2─ ページ25

しかしながら彼に許可を取ることが夢野君に会うための最短経路(ルート)

画面に表示された複数の文字の中から目的の名前を探し出し、一呼吸を置いてから中央のボタンを押す。

数秒の呼出音の後、電話の向こうから静寂が流れ込んできた。




『もしもし、こんにちは森さん。突然で申し訳ないのですが、以前話していた少年と会わせてもらえませんか?』




くるくると指に髪を巻きつけながら簡潔に用件を伝える。

こうしていると妙に心が落ち着く。

膝上に乗るフルールもピクピクと耳を動かして音に意識を向けている。


電話からは驚きと苦笑が混ざったような声が聞こえてきた。




「おや、またいつもの悪戯電話かと思ったよ。A君直々の頼みとなれば断る理由は無いが、彼の異能は危険だ。君一人での謁見は認められないね」




返ってきた言葉に反論する気は起こらない。

それは至極当然な意見であり、私自身そう答えられるだろうと思っていた。

むしろすんなりと許可を出すようなら相手の正気を疑う。




「そんなに彼に会いたいのかい?」

『私に与えられた任務の一つが組織に所属する異能力者の把握です。昔、首領に丸投げされた異能者管理リストの件は忘れていませんから』

「...それは耳が痛いね。仕方ない。太宰君、一緒に行ってあげなさい」




首領が呼んだその名に思わず眉をひそめる。

その後遠くで微かに聞こえてきたのは少年の重く暗い溜め息だった。




「嫌ですよ、面倒臭い」

「まあまあそう云わずに。君も今日は夜まで何もすることが無いのだろう?」

「いや、僕はこれから佳い川がないか偵察に」

「首領としての命令だ。彼女の補佐をしなさい」



*



「......Aさん、僕は次こそ必ず自 殺を成功させようと張り切っていたのです。だから今日の下見はいつも以上に重要であり、心が踊るほど楽しみにしていたんですよ」

『はいはい、今度美味しい山女魚(ヤマメ)が釣れる綺麗な川でも紹介するから』




演説をするような落ち着いた口調で駄々をこねる太宰。

私は彼を宥めるようにそう云い、長い廊下を横並びで歩いていた。


コツコツと靴の乾いた音が静かに響く。

辿り着いた座敷牢へと続く扉の前には見張り役の黒服が立っていた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 双黒 , 過去編   
作品ジャンル:アニメ
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煉華(プロフ) - あきさん» あきさん、ありがとうございます!久しぶりすぎてどうかなと思ったのですが、アニメ放送開始したからか見てくださる人が多くて安心しました。頑張ります(^^*) (2023年1月27日 21時) (レス) id: 4710ee5a2a (このIDを非表示/違反報告)
あき - 続編おめでとうございます!ちょうど先週辺りから読み始めたのでタイミングが良かったです笑これからも頑張ってください。 (2023年1月26日 21時) (レス) id: 3fb64841ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:煉華 | 作成日時:2023年1月26日 20時

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