IQ1の体育館…いや、校長 ページ1
「ねぇ知ってる？夏休み中に体育館をリニューアルしたんだって」
「そうなん？綺麗になってるかなぁ？」
この学校の体育館は床は軋むし雨漏りしてるしヤバめだったからな…
「まともになってないに1票」
「いや！流石にちゃんとつくったでしょ？」
「入ってみればわかるか！ではいざ入室！」
外観は変わってないなぁ、靴を入口前で履き替え扉を開けた。
「うわ、床コーティングされてるだけじゃん」
「まじかよ〜」
「てことは予想的中かー。外したかったぁ」
「まぁいいや、バスケしよ？」
足を床へ踏み出した。と思いきやバランスを崩した。立てない！冷たい！なにこれ！？水ぅ？！！
「はぁぁぁ！？何これ？！溺れる！」
入口へ戻ろうと焦って手足をバタつかせる。水面を思い切り叩き飛沫が高く上がった。
「待って！今助ける！」
そう言ってもがく手を掴み引き出してくれて、何とか入口へ這い上がれた。
「何これ？死ぬかと思った…夢でも見てんの？有り得ない！」
「それな！大丈夫？どうなってんのこれ？」
床だと思っていた水面が少し波打つ。底が見えないしかなり深い。見た目はそのまま体育館、ステージは島のように付いていて、天井の大きい照明や挟まったボールはそのまま、バスケのゴールもちゃんとある。
「倉庫はどうなってんの？」
「多分この入口みたいに普通かなぁ？とにかく床の所だけプールっぽくなってる。」
その時、誰かの足音が自分達に近づいてきた。ふり返ると…
「校長先生…！？」
「どうじゃ？驚いたか？」
「なんでこんな事になってるんですか！」
「そりゃあのぅ、生徒達が雨漏りがすごいだとか床が軋むだとか言うから… ほら！これなら床も軋まぬし雨漏りだって気にならないじゃろう？」
「…」
口には出さないけどなんてクレイジーな野郎だ！そんな金あるなら直してくれても良かったんじゃないか？！
「まずもう床に立てませんし、こんなふうにする金があるなら普通に直せばよかったのでは？」
おおぉい！言っちゃったぞ！？でもナイス！
「まぁ、ロマンじゃな。」
「はぁ？はぁ」
どうしてくれんだか、この体育館に思い入れは無いけど使えないのは困る。
困り果てた二人は目が合った。気が合った。頷き合って校長へ向き直った。
おりゃあぁぁ！
静まり始めた水面に大きな波紋を作りながら校長は体育館へ沈む。
責任は取れないな！ただ清々しい気分で体育館を後にした。
続く
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作者名：リサリサ | 作成日時：2022年12月31日 22時
