？？？ ページ31
「助けていただき、ありがとうございました」
黒い衣装に身を包んだ男が、ヘリポートの上で何者かに電話している。
同じく黒い服をまとい、彼の隣に立つ女はその様子を見守っていた。
彼女は、男の電話の相手が誰だか知らないし、知る必要もない。
男が彼女の腰に手を回している間は、知ろうとすらしないだろう。
男は電話を切り、被っていたフードを外す。
艶やかな黒髪と端正な顔立ちが、日の光を浴びた。
その眩しさに目を細めながら、女は口を開く。
「……せっかく大学も決まってたんですけどね」
「でもあなたは俺を選ぶでしょう？」
「ご覧の通り」
女は再び振動し始めたスマートフォンをポケットから取り出し、無造作に投げ捨てた。
スマートフォンはヘリポートの端まで転がる。
「……本当にいいんですか？今ならまだ戻れますよ」
スマートフォンを目で追いながら、男は訊ねた。
「何度も言わせないでください。私はあなたを選んだし、これからも選び続けるんです。一緒に死ぬためには、一緒に生きなきゃ。そうでしょう？」
「……そうですね」
ふ、と男は笑みを漏らす。
「選ぶも何も、今の俺にはもうあなたしかいませんけどね」
「対する私の選択肢は、あなたか政治家も警察も腐りきった地元と釈放されるなり同居を迫る母親……いやぁ、とっても迷いましたね」
棒読みで困った困ったと首を振る女。
男は片眉を上げ、気障な口調で応じた。
「とっても迷った挙句俺を選んでくれたお礼に、キスでもしましょうか？」
「嫌ですよ。もっとムードってもんがあるでしょう」
女が言う間に、男は女の長い髪を一束すくい上げて口付ける。
女はやや驚いた表情で、男を見上げた。
男はにんまりと笑みを浮かべている。
「ようやく二人になれましたね、Aさん」
「……そうですね、耕一さん」
Aはそっぽを向き、素っ気ない口調で答える。
その耳が赤く染まっているのを、耕一だけが見ていた。
*
あなたが再び鬼になるのならば、わたしもそれになりましょう。
あなたが自由を望むのならば、わたしも羽を伸ばしましょう。
あなたはわたしの愛する人で。
わたしはあなたの愛する人だから。
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月乃派(プロフ) - そらえびさん» ありがとうございます！！！そらえびさんは神か？？？ (3月24日 20時) (
レス) @page31 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - 月乃派さん» リクエストありがとうございます！設定上全編通しては難しいのですが、少しだけ書きます！ (3月24日 16時) (レス) id: 034df459ee (このIDを非表示/違反報告)
月乃派(プロフ) - あのー、できれば新航空占拠もやって欲しいです。時間めっちゃかかってもいいのでもし、よければ何卒お願いします🙇 (3月16日 23時) (レス) @page30 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - minbutahuikbさん» ありがとうございます！ (1月17日 15時) (レス) @page30 id: bea40306cd (このIDを非表示/違反報告)
minbutahuikb(プロフ) - 凄くおもしろかったです (1月16日 8時) (レス) @page30 id: 5e3e8dde78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらえび | 作成日時：2023年12月4日 22時
