第五十九話 ページ16
『これが、この病院の全ての罪だ』
武蔵刑事が言い終わると、青鬼は先ほど琴音さんの画像を配信に載せるために降ろしていた腕を再び上げる。
銃が突きつけられたのは、私だけだった。
「知事。これは事実ですか？」
「事実です。でも、私は間違ったことはしていません。これは一億二千万人の、国民の命を救うために必要な研究何です」
「つまり、三人の命よりも一億二千万人の命を優先したと？」
「私は！」
知事が声を張り上げる。
「政治家として、正しい判断をしたまでです。決して懺悔などしません」
「では、お聞きします」
青鬼は、私の後頭部に突きつけた銃をカチャリと鳴らした。
「娘さんおひとりの命と、一億二千万人の命なら、どちらを優先しますか？」
「ッ！」
毅然とした態度だった知事は、明らかに動揺の色を浮かべる。
「見ず知らずの三人と、同じく見ず知らずの一億二千万人ならば、あなたは一億二千万人を優先する。では愛すべき娘一人と一億二千万人ならば？どちらを優先するんですか？知事」
「それは……」
「十秒以内に答えてください。答えられなければ、娘さんを殺します」
画面にカウントダウンが表示される。
知事はうつむき、そして覚悟を決めたように顔を上げた。
「一億二千万人よ」
武蔵夫妻が揃って息をのむのが分かった。
「いいでしょう。あなたを解放します」
『ま、待て！これで最後のはずだろ？人質全員を解放してくれ！』
「それはできません。まだ罪は残っています。それに……Aさん、あなたは解放されたいですか？」
「いいえ」
私は答える。
「私はこのまま、ここにいたいです。解放されたところで、私には私より他人を優先する母しか残りませんから」
「いいでしょう。我々はあなたを歓迎しますよ」
「A……！」
ふ、と。
私は口角を上げた。
「さようなら、お母さん」
青鬼が、配信を切った。
配信後の余韻に浸ることなく、マスクに眼鏡、手には注射器を持った安芸さんが現れる。
「何する気？」
武蔵先生が焦ったように訊ねた。
「知事を解放する約束でしょ？」
「いよいよ……審判の時間です」
面を取った青鬼は、知事たちを見つめながら言った。
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月乃派(プロフ) - そらえびさん» ありがとうございます！！！そらえびさんは神か？？？ (3月24日 20時) (
レス) @page31 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - 月乃派さん» リクエストありがとうございます！設定上全編通しては難しいのですが、少しだけ書きます！ (3月24日 16時) (レス) id: 034df459ee (このIDを非表示/違反報告)
月乃派(プロフ) - あのー、できれば新航空占拠もやって欲しいです。時間めっちゃかかってもいいのでもし、よければ何卒お願いします🙇 (3月16日 23時) (レス) @page30 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - minbutahuikbさん» ありがとうございます！ (1月17日 15時) (レス) @page30 id: bea40306cd (このIDを非表示/違反報告)
minbutahuikb(プロフ) - 凄くおもしろかったです (1月16日 8時) (レス) @page30 id: 5e3e8dde78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらえび | 作成日時：2023年12月4日 22時
