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第四十五話 ページ2

青鬼は、画面越しの武蔵に今回の「ゲーム」のルールを伝えた後、配信を切る。
少しして、青鬼の仮面をとった耕一さんが拠点に戻ってきた。
ちょうどそのとき届いたメールについて、みさきさんが彼に伝える。

「耕一、紫からメール。『警察がシェルター内回線から院内システムに侵入。SIS隊員二名が地下入り口から中に入った』!」
「シェルター?警察側もシェルターの存在を知っていたのか?」

孝さんが驚いたような声を上げた。

「まあ、完全に秘匿された存在というわけではありませんし……この病院の設計責任者でも呼び出せばすぐにわかることかと」
「なるほど……すぐに切断しよう」

私がそう返すと、孝さんはすぐにキーボードを叩く。
紫までいるのか、とは思ったけれど、それは口に出さないでおく。
私がどれだけ正体のわからない心のもやを抱こうと、私は彼らの計画の駒の一つであることには、もう慣れてきた。

「ネズミ二匹の姿は?」

極めて冷静な様子で、耕一さんは訊ねる。
答えるみさきさんは、焦りを隠せていない。

「どこにも映ってない」
「おそらくカメラの位置を把握しています。こちらからは場所が特定できない」
「どうする?」

耕一さんは胸元のトランシーバーから他の鬼たちに連絡する。

「想定外の事態が発生しました。SIS隊員が二名、地下から侵入しました。すぐに見つけ出して排除してください」

次々と入る、『了解』の返答。
みさきさんも、孝さんが回線を切断するのを待ち、二人で拠点を後にする。

「……私も行きます」

残った耕一さんにそう声をかけると、ぎょっとした顔でこちらを見た。
そして明らかに狼狽した目でかぶりを振る。

「駄目です。行かせられない。あなたを危険な目には……」
「私が行かない方が、他の方たちが危険だと思うんです」
「……どういう意味ですか?」
「SIS隊員は武器を持っているんですよね。武装している鬼たちを見たら、一も二もなく発砲する可能性も高い。でも、本来人質である私がうろついてたらどうでしょう?それだけでやりにくくなると思いませんか?」
「……確かに、そうかもしれません。ですが……」

言いよどむ耕一さんに、私は訊ねた。

「あなたの優先順位は、どっちなんですか。耕一さん」

彼ははっとしたような目で私を見る。
そんな耕一さんの目を、私は見つめ返した。

「私か、計画か。どちらを選びますか」

震える声で、耕一さんは答える。












「計画、です」

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設定タグ:大病院占拠 , 青鬼 , 大和耕一   
作品ジャンル:恋愛
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月乃派(プロフ) - そらえびさん» ありがとうございます!!!そらえびさんは神か??? (3月24日 20時) (レス) @page31 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - 月乃派さん» リクエストありがとうございます!設定上全編通しては難しいのですが、少しだけ書きます! (3月24日 16時) (レス) id: 034df459ee (このIDを非表示/違反報告)
月乃派(プロフ) - あのー、できれば新航空占拠もやって欲しいです。時間めっちゃかかってもいいのでもし、よければ何卒お願いします🙇 (3月16日 23時) (レス) @page30 id: 67461f2801 (このIDを非表示/違反報告)
そらえび(プロフ) - minbutahuikbさん» ありがとうございます! (1月17日 15時) (レス) @page30 id: bea40306cd (このIDを非表示/違反報告)
minbutahuikb(プロフ) - 凄くおもしろかったです (1月16日 8時) (レス) @page30 id: 5e3e8dde78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そらえび | 作成日時:2023年12月4日 22時

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