insomnia.（ym×in） (ページ4)

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…

『ちゃん、こっちこっちー！！』

数ヶ月前と至って変わらない元気な声で、俺を呼ぶ大ちゃん。

会うのが久し振りだと言う事か、思わず笑みが零れる。

「流石にうるさいわ、ばか。」

と、笑いながらも呼ばれた大ちゃんの隣の席に座る。

『で？体調はどう？』

俺が仕事を辞めたと言う情報は回っていたのか。

馬鹿にされないだろうか。と

不安になりながらも、質問に大人しく答える俺。

「まあ、なんとか？？」

笑いながら答えたつもりだけれど、

傍から見ればぎこちない笑顔なんだろうなー、なんて。

本当に、ちゃんと笑えてるのかな。

『ちゃん、嘘吐いたな？』

「げ、」

何時もは鈍感の大ちゃんに、図星を突かれた事で

声が出てしまい、咄嗟に口を手で抑える。

『あ、その反応は当たってたな。なんか前より痩せたし、クマすごいんだもん。』

「あー、、まあちょっと色々かな。」

『なんだよそれー、友達なんだから俺の事頼ってくれても良いのに。』

「だって大ちゃん忙しそうだし、、」

と言葉を濁すが、失敗。

『そんな心配しなくて良いってば、ちゃん放って置いたら何時の間にかシレッと死んでそうなんだもん。』

「その言い方は失礼だな、ちゃんと食ってるし。」

『ごめんごめん、でも山田も心配してたよ。』

「山田が？てか、俺が仕事辞めたって情報も山田経由？？」

山田は俺の後輩。今は元後輩という事になるけれど。

「そう、山田が滅茶苦茶キョドりながら、俺に電話して来てさ。」

山田が俺の事を、、、なんてどうせ嘘だろう。

なんて思いながらも話を逸らす。

「へえ？てかもう遅いけど明日大丈夫なのー、大ちゃん。」

店内の時計を見てみれば、もう午前2時で。

『うっわ、、やったわー、ちゃんまた俺と飯食ってくれる？？』

当たり前のことを尋ねてくるだなんて、大ちゃんにしては珍しい。

「勿論。あー、お会計これでお願い。お釣りは大ちゃんにあげる。」

馬鹿馬鹿しいが、ちょっと優男ぶって店を後にした。

何時もの夜よりは。何時もの一日よりは。

とても心地好くて、いい日だったけれど。

─── 今日も眠れなかった。