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コースが進み、いよいよメインの伊勢海老が現れた。
私となっちゃんは内心で舌なめずりしながら、気取ってナイフとフォークを動かし、一口目を口の中に入れようとわんぐりと口を開けた時だった。
「よっ、岡本。やっと来たか」
薮が、口角の両端を引き上げるようにして笑った。
やつの視線をたどると、入口に見覚えのあるイケメンがいた。
――あれはロンドン支社の岡本圭人くんじゃないの。
今まさに日本へ帰ってきたばかり、といった様子で、岡本くんはいくぶんくたびれたスーツ姿だったけれど、その立ち居振る舞いはまさに生まれながらの貴人だ。
確か、岡本くんはさるやんごとない筋の一粒種で、高貴な血筋を引いている、らしい。
岡本くんに気が付いたフロアマネージャーが飛んできて、丁寧な挨拶をしている。
それに慣れた様子で返事をし、岡本くんはパタパタと私たちの席にやって来た。
岡本くんは、ふっ、と小さく息をして、「――裕翔」と、はにかみながら中島を見つめた。
「圭人、なんで日本に……」
ガチャンと、マナー違反の音を立てて、中島が立ち上がった。
そんな中島に、岡本くんは切れ長の瞳をうるうるさせて、ゆっくりと口を開いた。
「……俺、やっぱり裕翔が忘れられなくて……本社勤務を希望したんだ。
来週から、薮課長の下で働くんだよ」
「ああ、たしか、中島様は岡本とはロンドンに留学されていた際に同級生だったそうですね」
薮課長はニヤッと笑って、あくまでもビジネスっぽく言葉を続ける。
「これまで、八乙女主任が中島建設の担当を務めていましたが、中島様と旧知の仲の岡本副主任が急遽営業二課に転勤になりましたので、担当を交替させていただきます。
よろしいですか、中島様？」
「――薮課長。圭人と私のことを、知ってらしたんですか」
「はい。存じておりました」
ソツのない薮の微笑み。
岡本くんと中島様の間に、どんな関係があるのか。
分からないけども……腐女子アンテナが発動したのは、私もなっちゃんも同じだった。
「裕翔……」
甘い声で岡本くんが名前をもう一度呼ぶと、中島は私たちに華麗に一礼した。
「失礼ですが、今夜はこれで。……薮課長、八乙女主任。今後ともよろしくお願いします」
華麗に無視された私となっちゃんは、モブキャラの役割を心得ているから、黙ったままだ。
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冬の勿忘草(プロフ) - 読み返したくなるお話し。何度でも食べられる^^*うまうま 始まった頃が懐かしいです…☆ (2019年5月25日 22時) (
レス) id: d769e67f4c (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - あいさん» あい様、気づけば月末です。いやー、みんな頑張った…やりきりました…。作品を大好きと言っていただけてホントに嬉しいです★温かくこれからも見守ってくださいませ。ありがとうございます。 (2018年5月30日 21時) (レス) id: 0d848a077f (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - しろくまさんの作品が好きすぎて 、やぶひかも好きすぎて、ベストコンビ大賞も1位を取りたくて、同じようなコメントばかりしてごめんなさい！しろくまさんの作品はどれも大好きです！これからもよろしくお願いします。 (2018年5月29日 23時) (レス) id: 47fe4b83c6 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - あいさん» わーんごめんなさい。下はあい様へのレスです〜。 (2018年5月29日 20時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - あい様、こちらにもありがとうございます。残り日数が少なくなって、焦り気味でございます。オマケのお話しはやぶひか担みんな大好きナポリタン★一度は書きたかったネタです(笑)reject 本編もまた必ず書きます！よろしくお願いいたします。 (2018年5月29日 20時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろくま
| 作成日時：2018年2月22日 16時
