14---やぶ ページ14
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泣かせてしまった……。
初めてひかるが泣くのを見て、俺は大いに動揺した。
ぽろぽろと涙を流すひかるは……不謹慎だけど、可愛かった。
Ｋがどういうつもりで手をひいたほうがいい、と言ったのかは分からず、俺とひかるが「特別」と言った意味も分からない。
ただ、泣きじゃくるひかるが、愛おしくて、なんとしても守ってあげたいと感じた。
震える背中をさすってやると、やっぱり出会った時と同じように骨ばっていて、頼りない感触が伝わる。
身体を売るってことが、どれだけひかるの痩せた体にダメージを与えているのか、俺には想像もつかない。
……やっぱりやめてほしい。
食べるための手段ならば、どうにか考えて、別のやり方で稼いだらいい。
Ｋだって、なんか商売はじめて、身体を売らないで済む方法を模索していたじゃねぇか。
俺とひかる、ふたりでどうにかこの街を泳ぐ方法があるはずだ。
「Ｋが言ってたこと、ほんとだと思う。俺、この『仕事』向いてない……辞めたい」
ひかるが涙を湛えた目でまっすぐに俺の目を見て、言った。
自分で選んだことだから、と、辛いことにじっと耐えてきたひかる。
少しぐらい……俺にもその荷物を分けてくれてもいい。
「……もう、今夜は帰って、ちょっと……話そうか、ひかる？」
そう言うと、ひかるは素直に頷いた。
ひかるを促して、ふたりで肩を並べて歩き出す。
15分ほど歩くと俺らの部屋だ。
まだ2時にもなっていない。
ひかるはいつものように「キッチン」に立つ。
「早いけど、ごはんにしよっか？少し待ってて」
手際よく食事を作り始めたひかるの背中を見ながら、古びたソファに座って考える。
どうすれば、ふたりで生きていくことができるか。
あと数日で新しい年だ。
新年だからって、身構えることはないけれど、これまでより大人になって、ひかるを守りたい。
それだけの力をつけたい。
「お待たせ」
ひかるが作る料理は家庭的で、俺が食べたことのない「おふくろの味」を想起させる。
今日も肉じゃがと、ほうれんそうのお浸し、なんていうメニューだった。
「うまい…おかわりある？」
アタマの中で考えるより、胃袋の方が掴まれているかもしれない。
肉じゃがのおかわりをねだると、ひかるはいそいそと立ちあがり、たっぷりとよそってくれる。
『家庭』っていうのは、ひょっとしたら、こういう所なのかもしれない……。
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しろくま(プロフ) - 有さん» 有様、蔵之介様も素敵ですね！出来れば蔵之介様にはちぃ様を手込めにして欲しい←病気。情報屋のお話しはまた必ず書きますので、よろしくお願いいたします！懲りずに短編を連載中なので、そちらも。宣伝(笑)コメントありがとうございました！ (2018年1月9日 7時) (
レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ありこさん» ありこ様、おはようございます。前作、めっちゃ長かったのに、ファンなんて…嬉しくて倒れそうです。ありがとうございます。少し時間をおいて、またこの二人でお話を書きますので、ぜひまた遊びにきてくださいね！きゅんきゅんしていただけるように頑張ります。 (2018年1月9日 7時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - まっつんさん» まっつん様、おはようございます！楽しんでいただけて嬉しいです★今回はどーてーを光君に捧げる薮様がメインテーマと言う妄想話です(笑)どうぞこれからもよろしくお願いいたします。コメントありがとうございました！ (2018年1月9日 7時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
有(プロフ) - あぁぁぁあー長瀬くん！！なるほど！私の脳内では勝手に佐々木蔵之介さんに変換されてました。笑 とっても面白くて、毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！！わがままですが、情報屋の続きをもっと読みたいです(●´ω｀●) (2018年1月9日 1時) (レス) id: 074c0f6b92 (このIDを非表示/違反報告)
ありこ(プロフ) - はじめまして、前作からしろくまさんのファンです。2人の出会いからラストまで始終可愛いくてきゅんきゅんしました。とても面白かったです。素晴らしいお話をありがとうございました！ (2018年1月8日 23時) (レス) id: 0a1f704509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろくま
| 作成日時：2017年12月26日 1時
