小さなお願い【ybhk短編】

アツアツの国から【サッカージャーナリストのyb×YouTuberのhk】 ページ46

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＊「アツアツを召し上がれ」の2人のその後。
ymとcnは日本代表サッカー選手。




—-hk side


勝ったー！！

テレビ画面の向こうで喜び合うブルーのユニホーム。

ご近所さんたちも試合を観てたんだろうね、早朝なのに笑い声や楽しそうな声が聞こえてくる。

おれ、サッカー良くわかんないけど、すっごく嬉しかった。

だって山田と知念が点とって勝ったんだから。

おれらの結婚式で先導役を務めてくれた2人、その2人がすごい勝利を勝ち取ったんだ。

あの青いユニホーム、おれも着てみたいな、山田に頼んじゃおうかな？
サインもお願いしちゃおうかなぁ。


……だって、今日はおれの誕生日だもん……


誕生日にケーキやプレゼントがほしいわけじゃない。
でも、やぶはワールドカップが始まってから遠い砂漠の国に出かけてしまい、何日も連絡がない。

そりゃ仕事で出かけてるんだし、やぶがこの仕事に全力で頑張ってるのはわかってる。


だけど、2人で迎える初めての誕生日なんだよ……。


ボンヤリ画面を眺めていると選手インタビューが始まった。

山田だ、エースの山田。

思わず身を乗り出しちゃう。

「それでは、逆転ゴールを決めた山田選手のインタビューです！山田選手、おめでとうございます！」

その声に息が止まる。

間違いない、やぶの声だ。
画面には映らないけど、やぶがインタビューしてるんだ。

「ありがとうございます。今日は友達の誕生日なんで、ゴールが決まって良かったです」

山田はテレビカメラに手を振り、「おめでとう！」と叫ぶ。
そしてインタビュアーが握っているであろうマイクを奪って、インタビュアーの方にマイクを向けた。

「やぶちゃんも、ほら！」
「誕生日おめでとう！」

顔は映らないけど、その声は確かにやぶで──。

遠い砂漠の国から貰った「おめでとう」に、おれは「ありがとう！」と叫んだ。

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