小さなお願い【ybhk短編】

ニヤニヤ【リアル設定】 ページ5

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コータ、思ってることがすーぐ顔に出るんだよ。

意外？
そうでもないか、コータのダメさ加減っていうか、すぐ顔に出ちゃうとこ、番組のコーナーになったくらいだもんね。
普段から30歳過ぎて、あんなに思考が表情筋と直結するなんて、ダメじゃないの？


あ、ただね、それってヒカに関することだけ。
ヒカ以外のことは冷静さを装ってる……。

立場上、あんまりごちゃごちゃ言えないからかな。
まあ最近は、コータも最年長扱いされなくなってきたけど、それでもスタッフさんとのやり取りなんかは未だにコータがやったりするもんね。

コータはヒカのこと好き──そんなの、サッカーボールが丸いっていうのと同じくらい当たり前のこと。

本人、隠してるつもりらしいけど、ヒカのことになると顔に出る出る。

誰かがヒカをイジったりしたら、本気でムッとしてる。
そんなの冗談に決まってるのに、『アイツにひかるの何が分かるって言うんだ』なんて怒ってる。

もちろん、コータのことだから喧嘩腰なんてことはないけど、近くにいる僕たちからしたらヒヤヒヤするよねぇ。

本当にコータは子供みたい。
独占欲が強いし、ヒカは自分の物って勘違いしてんじゃないかな？

ほら、サウナにヒカを連れて行って、迷ったヒカを眺めてたとかね！

単にヤバい人だよね。

もし同じように僕が迷ってたら、コータはすぐに声をかけてくると思うよ。

『ゆーり、こっち』ってね。

他のメンバーや知り合いでもそうでしょ。

相手を困らせたり迷惑をかけたりすることって、コータは絶対にしない。

ただヒカのことだけは違う。

ヒカが困ってる──コータを探して迷っている姿をニヤニヤ眺めて悦にいってるわけ。

『ひかるは俺の物だ』っていう思考が表情筋に直結してるよね。

え？
ニヤニヤしてたかどうかは分からないって？
ニヤニヤしてるよ、だって、僕見てたもん。

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