甘えてみせる【リアル風設定】 ページ24
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「……ダブルベッドなんて、いつの間に買ったんだよ」
語尾に『呆れた』と付きそうな声音。
「ん?だってさ、これからは毎晩一緒なんだから、広いベッドがいいだろ〜?このマットレス、イタリア製なんだぜ。アッズーリが使ってんのと同じやつ」
新品のベッドにたじろぐひかるに気がつかないフリをして、俺はわざと雑にベッドめがけてダイブした。
マットの反発力でポヨンと軽く体が浮くけど、前のベッドみたいにギシギシいわない。
「気持ちいいわー。ひかるも寝てみなよ」
自然な感じで誘ってみたが、警戒心の強いひかるはまだパジャマの袖口をいじいじしながら寝室の扉口で迷っている。
「おれ、居候なんだから……ソファでいい……」
「居候?何言ってんだよ。ひかるは俺のお婿さんだろ?ほら、ひかると一緒に俺寝たい」
コイツの遠慮とか理性を緩めるためには、こっちから甘えないとダメだ。
ポンポンと空いたスペースを叩くと、そろそろと近寄って来る。
「お願い〜、ここ来て」
寝転んだまま見上げるひかるは困惑したように眉を下げていたが、思い切ったようにゆっくりベッドに横になった。背中を向け、30cmほどの隙間をあけて。
「……寂しいじゃん、くっついてよ」
ぎゅっと背中から抱きつき、うなじに顔を埋めた。
同じシャンプーやボディーソープを使ってんのに、ひかるからは甘い香りがした。
「ひかる、好き。大好き。愛してる」
安っぽい言葉にひかるはクスクス笑う。
「なぁ、ひかるは?ひかるも言って?俺のこと、好きだって言って?」
「…うん…好き。やぶ。好き」
消えそうなほど小さな声だった。
「ひかる」
両手に力を込める。
「愛してるよ──優しくするから、任せてくれる?」
「うん……」
三十路を過ぎて、やっと迎えた初めての夜。
嘘みたいだ、ひかるが俺の腕の中にいる。
俺はひかるの体を抱き寄せ、そっと唇を重ねた。
「──ひかる。可愛い」
柔らかな髪を撫でながら囁くと、ひかるは気だるそうに「加湿器買って」と呟いた。
「加湿器?」
面喰らう俺に「ここ、めためた乾燥してる」って眉をしかめる。
「このまんまだと喉まで痛めそうだよ」
──気持ち良さそうに喘いでいたひかるの姿が甦り、グンとまた下腹が熱くなった。
「そっか、いい加湿器買わなきゃな」
腰をひかるの太ももに擦り付ける。
「……やぶ。なんでまた元気なの」
「まだまだ俺も若いってコトだな」
老夫婦になるまでにはまだ時間はありそうだよ、ひかる。
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しろくま(プロフ) - ◇さん» ◇さま、コメントありがとうございます。お褒めいただき嬉しく思います。今日は2人の結婚記念日でもあります。ステキなクリスマスをお過ごし下さい。 (2022年12月25日 7時) (レス) @page49 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
◇(プロフ) - 最終話のタイトル回収があまりにも美しくて…。執筆お疲れ様でした!次回作も心待ちにしております (2022年12月24日 2時) (レス) @page48 id: 3e4ffd633a (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 9さん» その涙はひかちゃんのハンドタオルで拭いて差し上げます🥰 (2022年10月24日 13時) (レス) @page44 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
9(プロフ) - …滂沱……最高です! (2022年10月24日 9時) (レス) @page44 id: a1a90f72f9 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちち様、ありがとうございます。どうしても薄暗い健吉ひかる…。次は甘々の二人を!!! (2022年7月27日 8時) (レス) @page35 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
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