小さなお願い【ybhk短編】

地雷のクリスマス【地雷系ybhk】 ページ15

.

注※地雷系女子の二人 百合設定
お気をつけください！



---yb side



「クリスマスまでにはいい人が欲しいなぁ」

ヒカルはくるくるストローを回す。
何十回、何百回と聞いた同じ言葉だ。

贔屓のバンドのライブ前には、いつもこのカフェで待ち合わせ、あれこれおしゃべりしてから参戦する。

今まで、音楽にしか興味がなかったひかるが、クリスマスが近くなってきたせいか、彼氏が欲しいと口癖みたいに言う。

「彼氏、欲しいなー」
「ヒカルは可愛いんだから、本気出せばすぐ彼氏できるんじゃないの?」

私も何百回目かの同じ答えを口にしてカフェラテを口にした。

ヒカルは襟口が広く開いたブラウスを着ている。

胸が小さいことを『ボクはつぶさだから』って卑下してるけど、形がほんとに綺麗。
胸から細いウエストラインはお人形さんみたい。
プラチナブロンドの髪だって、少しも傷んでいない。

私は胸こそおっきいけど、こんな風に可愛くない。
肩幅は広いし、厚底のブーツを履いたら、170を軽く越えてしまう。

「ヒカルの〈いい人〉って、身長は180cmくらいあってスタイルいいイケメンで有名大学出て頭いいけど謙虚で、実家は都内で長男じゃなくて、仕事熱心だけど趣味も充実してて、楽器が弾けて歌が上手い人でしょ？……ちょっと条件を緩めたら、すぐ彼氏できるよ」

「やだ」
「やだってどこがよ」
「それじゃ、まるでボクが条件だけで彼氏探してるみたいに聞こえる」

プクッとほっぺたを膨らませたヒカルはまたストローをくるくる回す。

かき回されているのは、レモンソーダ？それとも私？

綺麗な指から目が離せない。

「……クリスマスイブまでに彼氏が出来なかったら、私がヒカルとデートしてあげる」

サラッと言って、私はバッグを持った。

「そろそろ行こうよ｣


──ヒカルに言い寄ろうとする男を私が片っ端からぶちのめしていること、ヒカルは知らない。

12月20日のクリスマス【リアル風設定】→←----

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す