アツアツを召し上がれ【ybhk】

… ページ5

.


あ、滑舌の話をすると、ひかるが拗ねるからこれはオフレコ、な。

ひかるのあんな可愛い話し方、ほかの誰にも真似できないから、俺としては今のまんまがいいんだけど、ちょっとコンプレックスみたいだからさ。

言い間違いとか、噛むとか、テレビじゃご法度かもしれないけど、ひかるはそれが魅力なんだよ。
作りこんでない、ヘルシーでナチュラルな態度。

それって、簡単そうで難しい。

誰でも『自分を実物より良く見せたい』って思うじゃん。
ひかるはそういうのがなくて、いつだって自然。

あー、マジで可愛い。
たまんねー。


それに対して、俺はテレビだと作りこんでる感は否めない……。

もちろん、178cmの身長と長い手足、スーツの似合うなかなかイケてる容姿ってのは生まれ持ってのもんだけどな。

メディアに露出するスマートで仕事のできるイイ男感は、実物のスペックとは違う。
はい、自覚してます。

実際の俺は不器用だし、仕事以外のことはずぼらだし、めんどくさがりだ。
忘れ物も多いし、落ち着きないし。

まあ、そのギャップがいいってひかるが褒めてくれるから、それならそれでいいんだけどね？


テレビで使ってもらえる理由。
サッカーやスポーツの知識はもちろん、こういう見た目のアドバンテージもこの世界では大事なことなんだよ。
理屈だけじゃ通用しないことがあるのが「ギョーカイ」ってやつだな。



まあ、そうして、ちょいちょい便利に使ってもらえるようになって、テレビ局のスタッフさんとサッカー番組をやりたいなって話が出た。
その時は司会のオファーくださいよって冗談交じりに言っていたんだけど、その企画がホントになった。

週一のサッカー番組で、海外サッカーを中心にした情報番組“サッカーサマリー!”。
深夜の20分枠だけどもうすぐ2年目になる。
なかなかの人気なんだよ。

そして、その番宣のためにゲスト出演した“オヒルナンダヨ”で、俺はひかると運命的な出会いをすることになる。

episode3→←…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す