山彦海彦【縄文のyb×弥生のhk】 ページ10
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草むらを寝床にして、やぶがのんきに昼寝をしていた。
腰に巻いた美しい鹿の毛皮からにょっきりと長い脚が伸びている。
おれはやぶに会うために織った新しい麻の衣を着て、どきどきする胸の音が聞こえやしないかと不安だった。
｢やぶ｣
呼ぶと、大きく伸びを一つしてこちらを向き、ひかる、とふにゃりと笑ってくれた。
目元にくっきりと彫られた朱い刺青は勇敢な戦士の証だ。
やぶは寝転んだまま腕を伸ばす。
カラカラと貝殻の腕輪がキレイな音を立てた。
おれが作った腕輪をやぶは大切にして、肌身離さずつけてくれている。
そしておれもやぶがくれた緑の石に紐をつけて首飾りにしている。
おれはやぶの逞しい腕に身を委ね、脚を絡めた。
「会いたかった、ひかる」
「おれも……」
すぐにやぶの唇が重なり、既に兆した腰が押し付けられた。
草の匂いと、やぶの汗の匂い、それに僅かな血の匂いが混ざり合う。
｢ひかる、海の匂いがする…興奮する｣
髪に顔を埋めたやぶはそんなことを言いながらおれの衣を剥いだ。
剥き出しになった胸を熱い唇が這い、ぞくぞくする感覚に身をよじる。
おれの住む海の村と、やぶの住む山の村は暮らしぶりがまったく違う。
塩と山の幸を交換するために出会ったおれたちもまったく違う。
狩りに生きるやぶと、海辺で塩を作るおれ。
だけど、堪らなくひかれあい、こうして互いに求め合う。
満足したやぶがおれから離れたのは、日が傾き始めた頃だった。
｢帰らねぇと｣
優しくおれの髪を撫でながらやぶはささやく。
｢また、次の満月の日に、な｣
やぶはウサギ肉の塩漬けと、猪の皮、それに鹿の角を渡してくれた。
珍しい品に、きっと村のみんなは喜んでくれるだろう。
おれは干し魚と塩を渡した。
やぶは山育ちの癖に魚が好きだから、山盛りの魚に目を細めていた。
｢じゃあな、ひかる｣
軽やかに山道を登って行く後ろ姿を見送る。
山と海、おれたちは住む場所は違う。
だけどどこで出会ったとしても、おれたちは恋に落ちただろう。
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しろくま(プロフ) - Ｑさん» Q様、冬空ははじめはもっとダークな感じだったんだけど、締めのお話にこれはない！と気づいてあんな雰囲気になった次第です。でもなんかまだサウナについては消化できてない！！きっとまた書きますわ… (2021年2月19日 8時) (
レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - SK329さん» SK329様、ありがとうございます。公式が妄想みたいな今日この頃、ネタに困らない反面公式にノックアウトされつつ書いたお話ばかりで…(笑)寝室は完全に｢お、おまたせ｣リプに触発されたお話です。リボンをかけて捧げます。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちち様、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。どれか一つでもお気に召すものがあれば嬉しい限りです。ソロキャンネタのお話はちちち様に捧げます〜。公式のドラム缶風呂にノックアウトされましたが…(笑)あの頃は想像できなかった…。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
Ｑ(プロフ) - しろくまさん» 冬空、途中まで笑ってたけどラストの一行でシーンってなったわ、まさしく冬空！ちねたん視点良かったです。そして山海読んでまた泣いてた。これは本当に泣けるわ~ベルトが落ちる音も復習したし…ショタやツバメやジョセフや…色々思い出しつつ最初から読み返してます (2021年2月18日 23時) (レス) id: a1a90f72f9 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - 完結おめでとうございます！心からどれも大好きです！けど、どれかひとつと言われたらキッチン寝室です＞＜ リアルな生活感大好物ですっ。 (2021年2月18日 23時) (レス) id: 84f428f697 (このIDを非表示/違反報告)
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