思いもよらない【リアル風設定】 ページ30
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その夜のやぶはいつも以上に落ち着きなく、ソワソワとスマホを眺めてみたり、髪を整えたり、意味のない仕草を繰り返していた。
とある洒落たホテルの一室。
微かに聞こえるシャワーの音にやぶは途方に暮れていた。
シャワーを今浴びているのは長年のシンメ、ひかるである。
二人で仕事を終え、その流れで一緒に食事し、なんとなく洒落たバーで飲むうちに、なんとなく｢ホテルにでも行くか｣となった。
ぶっちゃけ下心はあった。
だからといって、具体的にどうこうなるとは思っていなかった。
だが、ひかるは部屋に入るなり、｢お先に｣と慣れた様子でシャワーを浴びにいってしまった。
その警戒心のカケラもない背中に、『お前これからどうするつもりだ』とは聞けず、やぶはソファに座ったものの寛ぐことなぞ出来ずにいる。
「まさか、このまま寝るだけとか、ねぇよな？」
独り言を呟いた途端、｢何が？｣とシャワールームのドアが開く。
ベージュのバスローブの紐を器用に左手だけで結びながら、右手は明るい金色の髪をタオルで丁寧に拭いている。
「さすが一流ホテル〜、備え付けのシャンプーも良いやつだった」
安物だと髪が痛むからイヤなんだよ、とひかるは鼻歌混じりにドライヤーを使う。
その姿をやぶはポカンと眺めている。
ひかるって、こんなに色っぽかったっけ？
「…やぶ？シャワー行けよ？」
いつの間にか髪を乾かし終えていたひかるは小首を傾げて言い、それからガラス扉の冷蔵庫を物色して「やっぱ水にしよ」とペリエを飲み始める。
厭に慣れた様子にやぶの疑念は限界を迎えた。
「おい、ひかる、慣れてんな？まさか、お前って…こういうこと、よくやってんのか？」
低い声にひかるは「はあ？」と気の抜けた返事を返す。
そしてペリエを飲み干すと、スタスタとやぶの座るソファの前に素足のままやってきた。
見上げるやぶに、ひかるは「おれ、初めてだよ？」と何でもないように言い、バスローブの紐を落とした。
そのまま長い指がやぶのベルトにかかり、軽い音とともに床に落ちた。
ぺろり、とひかるが唇をなめる。
思いもよらない夜が始まった。
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しろくま(プロフ) - Ｑさん» Q様、冬空ははじめはもっとダークな感じだったんだけど、締めのお話にこれはない！と気づいてあんな雰囲気になった次第です。でもなんかまだサウナについては消化できてない！！きっとまた書きますわ… (2021年2月19日 8時) (
レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - SK329さん» SK329様、ありがとうございます。公式が妄想みたいな今日この頃、ネタに困らない反面公式にノックアウトされつつ書いたお話ばかりで…(笑)寝室は完全に｢お、おまたせ｣リプに触発されたお話です。リボンをかけて捧げます。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちち様、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。どれか一つでもお気に召すものがあれば嬉しい限りです。ソロキャンネタのお話はちちち様に捧げます〜。公式のドラム缶風呂にノックアウトされましたが…(笑)あの頃は想像できなかった…。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
Ｑ(プロフ) - しろくまさん» 冬空、途中まで笑ってたけどラストの一行でシーンってなったわ、まさしく冬空！ちねたん視点良かったです。そして山海読んでまた泣いてた。これは本当に泣けるわ~ベルトが落ちる音も復習したし…ショタやツバメやジョセフや…色々思い出しつつ最初から読み返してます (2021年2月18日 23時) (レス) id: a1a90f72f9 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - 完結おめでとうございます！心からどれも大好きです！けど、どれかひとつと言われたらキッチン寝室です＞＜ リアルな生活感大好物ですっ。 (2021年2月18日 23時) (レス) id: 84f428f697 (このIDを非表示/違反報告)
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