夏薔薇の誓い【王子yb×臣下hk】 ページ18
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夏薔薇の咲き誇る庭園がおれとヤブ王子の幼い頃からの遊び場だった。
唯一、大人がいない薔薇の園。
だけど、明日即位を控えたヤブ王子はもうこの薔薇園に来ることはないだろう。
おれは膝を抱えて赤い薔薇の陰に隠れていた。
こんな風にかくれんぼなんて、もう出来ない。
おれを探してくれる優しい瞳を一人占めにすることは、もう出来ないんだ。
｢ヒカル、見つけた！｣
ザッと薔薇の枝が掻き分けられて、急に明るくなる。
夏の陽射しを背後にして、ヤブ王子の金髪がきらめき、その眩しさに思わずギュッと目を瞑ってしまった。
｢薔薇の陰なんかに隠れたら、ヒカル、傷だらけになっちゃうぞ？｣
からかうように言いながら、ヤブ王子は赤い薔薇が咲く枝がおれの顔に掛からないよう、その手で押さえてくれている。
そんなことをしたら、王子の御手が薔薇のトゲで傷ついてしまう──！
焦って薔薇の間から這い出し、王子の手を取る。
｢王子、お止め下さい。薔薇で御手に傷がつきます｣
｢こんな傷、何でもない。ヒカルこそ大丈夫か？俺はヒカルに傷が付く方が嫌だ｣
不器用な手つきで王子はおれの髪をすいてくれる。
その優しい瞳が眩しくて、またおれは目を瞑ってしまった。
｢ヒカル──愛してる｣
溜め息のような声と同時に、おれはヤブ王子の腕に抱かれていた。
｢明日から俺はこの国の王だ。もうヒカルと二人きりで遊ぶことは出来ない──｣
振り絞る声におれは身動き出来ず、ただ王子の鼓動を聞いていた。
｢ヒカル、俺はお前を守ると誓う。命ある限り、俺はお前のものだ。その証しにこれを受け取ってくれ｣
王子はその手で銀の十字架のロザリオを首にかけてくれた。
｢その十字架は俺だ。俺はいつもお前の傍にいる｣
｢おれも──ヤブ王子を命ある限りお守り致します｣
おれはヤブ王子の胸に抱かれたまま誓い、そっと唇を十字架に押し当てた。
冷たい筈の銀の十字架が、今はこんなにも温かい。
｢──ヤブ王子、ヒカルは王子に差し上げる物がありません。だから──おれを……｣
｢ヒカル──｣
熱い口づけを受けながら、おれはそっと柔らかな草の上に押し倒された。
薔薇のむせかえるような香りの中、おれはヤブ王子のものになり、王子はおれのものになった。
誰も知らない。
二人だけの誓いだ。
夏薔薇は咲く【国王yb×軍人hk】→←空を見上げる【リアル風設定】
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しろくま(プロフ) - Ｑさん» Q様、冬空ははじめはもっとダークな感じだったんだけど、締めのお話にこれはない！と気づいてあんな雰囲気になった次第です。でもなんかまだサウナについては消化できてない！！きっとまた書きますわ… (2021年2月19日 8時) (
レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - SK329さん» SK329様、ありがとうございます。公式が妄想みたいな今日この頃、ネタに困らない反面公式にノックアウトされつつ書いたお話ばかりで…(笑)寝室は完全に｢お、おまたせ｣リプに触発されたお話です。リボンをかけて捧げます。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちち様、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。どれか一つでもお気に召すものがあれば嬉しい限りです。ソロキャンネタのお話はちちち様に捧げます〜。公式のドラム缶風呂にノックアウトされましたが…(笑)あの頃は想像できなかった…。 (2021年2月19日 8時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
Ｑ(プロフ) - しろくまさん» 冬空、途中まで笑ってたけどラストの一行でシーンってなったわ、まさしく冬空！ちねたん視点良かったです。そして山海読んでまた泣いてた。これは本当に泣けるわ~ベルトが落ちる音も復習したし…ショタやツバメやジョセフや…色々思い出しつつ最初から読み返してます (2021年2月18日 23時) (レス) id: a1a90f72f9 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - 完結おめでとうございます！心からどれも大好きです！けど、どれかひとつと言われたらキッチン寝室です＞＜ リアルな生活感大好物ですっ。 (2021年2月18日 23時) (レス) id: 84f428f697 (このIDを非表示/違反報告)
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