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父の視線の意味は、おれにはよく分かった。
自分たちが祀る村の神様に魔が取り憑いている──そんな恐ろしいことを村の人たちが知ったら、たちまち混乱してしまうに違いない。
「正体も分からぬし、このままでは対処の仕様もない。
今は
形だけの儀式を行うことは屈辱だったろうが、父は現実的だった。
その時だった。
「黙って祭りを行えば生きて帰れたものを。
──みすみす目端が利くばかりに命を失うとは、滑稽なことだ」
サアッと強い風が吹いて、視界を覆うほどの花びらが舞い散った。
気付けば祠の前には、可憐に微笑む美しい男がいる。
透き通るような肌と紅を引いたような唇、烏帽子に白い狩衣姿はまるで流行りの白拍子のようだった。
しかし、その狩衣の胸はべったりと鮮血に塗れていた──。
血の臭いが鼻を打った。
父はおれを背後に守るように立つと素早く印を切り、「……魔物め。村はお前が滅したのか」と呻いた。
父の背に縋ったまま後を振り返ると、今の今までそこにいたはずの村人たちの姿はなく、白いしゃれこうべが累々と転がっている。
ゾッとした。
死人を……死人を生きているかのように、魔が操っていたのだろう。
こんなこと、許されるわけない。
「さあ、山田の陰陽師どの。祭りを始めなさい。贄を我らに捧げておくれ。
さすれば命は助けてやろう──息子どのの命もな」
白い指がユラリと揺れて、パンッと何かが割れるような音が耳元で鳴った。
印で作られていた守護結界が破られたのだ。
総毛立つような恐怖に、もうおれは立っているだけで精一杯だった。
脂汗が流れ、震えが止まらずカチカチと歯が鳴った。
「涼介」
父は真っ直ぐ魔物と対峙しながら、手を伸ばしておれの頭をポンと叩いた。
その手は大きくて、温かくて、優しかった。
「都には土御門家のお血筋をひく、薮宏太様という陰陽師がいらっしゃる。帝の覚えもめでたいお方だ。
お前は薮様の元に行きなさい」
「でも……父上は……？」
見上げた父は視線を魔物から外さない。
一瞬でも目を離せば、その瞬間に魔に付け入れられてしまうからだ。
「さぁ！行け！」
父の叫びと同時におれは走り出した──。
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しろくま(プロフ) - Ｑさん» いや〜改めてあけましておめでとうございます。まだ松の内だからいいよね？今回、ハピエンにはならなくて残念です(／。＼)次こそは…！！懲りずに書くのでゆるゆる見て頂けると幸いです。 (2021年1月5日 23時) (
レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
Ｑ(プロフ) - 完結（ちゃんと年内に仕上げて！）おめでとうございます。そうか、そういうことだったのね、お二人の存在が透明感に包まれてたのは…黄泉のふたり、美しい…究極のハッピーエンドよ！しろくまさまワールド、堪能させていただきました！素晴らしき〜 (2021年1月2日 1時) (レス) id: 693b52752a (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、本当になんか…色々すみません〜。最後までお付き合い頂いてありがとうございました。次はちゃんと計画立てて書きます← 2021年もよろしくお願いいたします。良いお年を〜＼(^o^)／ (2020年12月31日 11時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 完結おめでとうございます。まさか、まさか薮様の方が先に？？まさかまさかです！伏線がたくさんあったんですねぇ。でも、あの世でもふたりは幸せだろうから、涼介の父上も戻ってきたんだから、ハピエンなんですよ！！ (2020年12月31日 9時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» ハピエン目指して行きます！涼しくなって来たので、これから更新がんばります〜。どうかお見捨てなきようお願い致しますm(__)m (2020年10月15日 21時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
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