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「先にシャワー行くか?」
カバンをリビングの床に雑に投げ、光に尋ねた。
「着替え、テキトーに貸してやっから」
顎先で浴室を示すと、光は曖昧に頷き、しばらくして浴室から水音が聞えはじめる。
着替えを用意してやりながら、いっそこのまま浴室に押し入って、前みたいに一緒にシャワーを浴びながら楽しもうかという衝動的な思いにとらわれた。
だが、あまりにがっついたら嗤われるんじゃないかと思い直し、それに少しは年上の余裕を見せたくて、わざと俺は「着替え置いとくぞー」といつもの調子で曇りガラス越しに光に声をかけた。
返事はない。
細っこいシルエットは微動だにせず、シャワーの単調な音だけが響く。
聞えなかったのかと「光?」と水音に負けないように少し声を大きくしたが、やはり返事はなくて、光は身動きしない。
さすがに異変を感じて、俺はドアを軽くノックして「どうかした?」とできるだけ優しく呼んでみた。
まさかバージンの女の子みたいに、これからの行為にしり込みしているわけではないだろうが、強引に部屋へ連れ込んだから、ためらっているのかもしれない。
「光?」
もう一度優しい声で呼ぶ。
いや、それは優しさを装っただけで、欲にまみれた声だった。
しばらく間があって水音がやむと曇りガラスのドアがあっけなく開いて、温かな湯気が頬を打った。
シャワーしていたんだから当たり前のことだけど、光は全裸だ。
俺は男のサガで、濡れた茂みに守られた光の中心に視線を落とし、それから胸の飾りに目をやった。
あの時はまだ幼さの残る身体だったが、今は細いなりに筋肉もつき、男としての部分も確立している。
率直に言えば体格は俺と差はないし、もちろん女の子のような丸みや柔らかさはない。
だけど、雫の流れるなめらかな胸や浮き出る鎖骨、引き締まった大腿の美しさ、それに……火照った頬や長いまつげに飾られた深い色の瞳に息を飲んだ。
そう、光は美しかった。
──どうしても俺のモノにしたい。
シャワーをザッと浴びて寝室に行くと、ベッドの端っこに腰かけた光はぼんやりした顔で枕元にいつも置いているサッカー雑誌を見ていた。
特集ページには、ゴールを決めてユニホームを脱ぎ棄てた、もじゃもじゃの胸毛を生やしたスペイン選手が写っている。
「何、光、こういうワイルド系が好みかよ?」
どうしても意地の悪い軽口が止められない。
光はゆっくりと顔を上げて「なにが?」と質問の意味がわからないと言いたげに眉を寄せた。
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しろくま(プロフ) - Qさん» 手のひらを返したような甘デレのやぶりんです(笑)長年拗らせていたら、ああなっちゃうのでしょうか?夜のご指導は…どうでしょうか?別の機会に(笑) (2019年5月9日 21時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
Q(プロフ) - おまけもたっぷりで完結おめでとうございます!ゆうやま!可愛い。そしてぐるぐるしてたくせに、今はすっかり幸せ一杯の薮さんが可愛くって可愛いです。…しかし、ちょっと聞きたかったですよ~。薮さんのゆうとくんへの赤裸々な性活指導… (2019年5月9日 19時) (レス) id: ce22f02e95 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - はなこさん» はなこ様…ゆとやま作者様に読んで頂いて恐縮です(;^_^Aやまちゃんのお誕生日記念のつもりだっつたのですが、本人が登場しないという体たらく…。可愛いやまちゃんははなこ様で美味しく頂こうと思っておりますっ。コメントありがとうございました。 (2019年5月9日 9時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、ゆーと担から殺されるかもしれん、と怯えつつ…。ゆーとくんはイケメンが過ぎるので、どうしてもこんな感じにしないと私には書けないのですな(笑)楽しんで頂けてよかったです〜。 (2019年5月9日 9時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!やぶひかが最近、ますます尊いのはこんな裏が…なんてリンクしちゃいました。そして、しろくま様のゆとやま〜っ!また是非ぶっ込んでくださいませ! (2019年5月8日 23時) (レス) id: be0c1ceb57 (このIDを非表示/違反報告)
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