。。 ページ6
.
確かに明日の仕事は光と一緒に午後集合だし、たまには外泊もいいか、と俺は「親に言うわ」と携帯を取り出した。
光んちに泊まると告げると、母親は『そんな急に』と文句たらたらだったけれど、電話を替わった光が「一人だと心細くておれが薮くんにお願いしたんです、すみません」と殊勝に謝った途端にトーンが変わり、『光くんに迷惑かけないのよ』と釘を刺して了承してくれた。
電話を切って振り返ると、光はだらりと下げていた両手を俺の首に回してきた。
その腕はしっとりとした重みがあり、至近距離で見る光のまつげは長い。
「──もう、
「そう、だよ」
光の吐息には特別な成分が含まれているようで、さっき川沿いで二人で眺めた桜が脳裏によみがえる。
……俺の肩についた桜の花びらを光の指が優しくつまみ上げて、フッと吐息を吹きかけると、それは宙を舞って川面に消えていった……。
花びらは花びらでしかないけれど、光の吐息によって、あの花びらは俺ら二人の『何か』になっていた。
その『何か』は甘く重くて、そして隠しておかなければならない気がした。
「薮」
小さく吐息めいた声で呼ばれた。
そう、これは、
引き寄せられるようにして、今度は俺のほうからキスした。
角度を変えながら唇をすり合わせると、光が誘うように舌先で俺の唇をなぞるから、そのまま舌を差し込んだ。
熱い舌を絡ませて、夢中になって互いに唇を味わい、唾液が顎先まで伝った。
湿った水音に煽られて、俺はだんだんと大胆に光を味わった。
頭の芯がくらくらする。
唇を離して、光の顔を見た。
頬を染めた光の瞳の奥に揺らめく感情は、恋とか愛といった綺麗な上澄みじゃなくて、もっと重苦しいセクシャルな衝動だった。
多分、俺も同じだろう。
俺は光の耳元で「光、
ピクリと肩を揺らした光は俺の手を握って「お風呂」とだけ答えた。
脱衣場に移動し、俺たちは再びキスしながら、互いの服を剥ぎ取るように脱がせ合った。
焦る俺の手は光のジーンズのファスナーをなかなか開けることができず、幾度も敏感なところをデニムの上から触れた。
そのたびに光は身じろぎし、そこが硬くなっていくのがわかった。
感じてるんだ。
そう思うと、俺自身もグッと力が入る。
ようやく互いに裸になって、浴室に絡み合いながら入っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろくま(プロフ) - Ｑさん» 手のひらを返したような甘デレのやぶりんです（笑）長年拗らせていたら、ああなっちゃうのでしょうか？夜のご指導は…どうでしょうか？別の機会に（笑） (2019年5月9日 21時) (
レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
Ｑ(プロフ) - おまけもたっぷりで完結おめでとうございます！ゆうやま！可愛い。そしてぐるぐるしてたくせに、今はすっかり幸せ一杯の薮さんが可愛くって可愛いです。…しかし、ちょっと聞きたかったですよ~。薮さんのゆうとくんへの赤裸々な性活指導… (2019年5月9日 19時) (レス) id: ce22f02e95 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - はなこさん» はなこ様…ゆとやま作者様に読んで頂いて恐縮です(;^_^Aやまちゃんのお誕生日記念のつもりだっつたのですが、本人が登場しないという体たらく…。可愛いやまちゃんははなこ様で美味しく頂こうと思っておりますっ。コメントありがとうございました。 (2019年5月9日 9時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、ゆーと担から殺されるかもしれん、と怯えつつ…。ゆーとくんはイケメンが過ぎるので、どうしてもこんな感じにしないと私には書けないのですな（笑）楽しんで頂けてよかったです〜。 (2019年5月9日 9時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！やぶひかが最近、ますます尊いのはこんな裏が…なんてリンクしちゃいました。そして、しろくま様のゆとやま〜っ！また是非ぶっ込んでくださいませ！ (2019年5月8日 23時) (レス) id: be0c1ceb57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
