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砂浜に打ち上げられた大木の陰に、ふたりの小さな子供たちが身を寄せ合って震えている。
うす汚れて、痩せ細っていて、とても十分に世話をされているとは思えなかった。
「…どうしたの？」
声を掛けると、子供らは生意気にも毛を逆立て、小さな白い牙をむき出しにして精一杯の唸り声を上げる。
「なんだ、どっちも威勢がいいな」
ヤブはずんずんと子供らに近寄り、「腹減ってんだろ？ウサギ肉食うか」と非常食用の干し肉を差し出した。
ゴクリ、と同時に唾を飲み込み、よほど空腹だったのだろう、無言でヤブの手から肉を奪い取り、がつがつと食った。
枯れ木みたいに頼りない細い腕をして、ギラギラと目だけを光らせている。
そうだよ、おれも……おれも、オババ様に拾われるまではこんな痩せた捨て子だったんだ。
オババ様に拾われて、群れに入る儀式をしたとき、長さまの隣でおれを睥睨していた小さかったヤブ。
キラキラ輝く黄金の毛並みが眩しくって、まともに見ることさえできなかったんだ。
「…お前らの群れは？親はどうした？」
干し肉を食い終わった子供らの毛は逆立っていない。
ヤブの質問に汚れた顔を見合わせて、ゆっくりと首を横に振る。
「そうか」
ヤブはそれだけ言って、それからふたり一緒にヒョイ、と抱き上げた。
「よし、今日からお前らは俺の群れに入れ!!俺が長のヤブだ、こっちは番のヒカルだぞ」
「えっ!ボクたち群れに入っていいの!?」
「おー、いいとも、ただし、四人だけの群れだけどな」
手足をバタつかせる子供らを抱き上げたままヤブは大声で笑い、つられて子供らも笑いだした。
ああ、そうだ、やっぱりヤブは長が似合う。
波音をかき消すほどの笑い声に包まれて、ままごとみたいな群れが始まった。
海は、初めて会った時のヤブの毛並と同じ金色に輝いている。
---獣人シリーズ おしまい♡
未来を読む▼獣人シリーズ�ア�←はじまりの海▼獣人シリーズ��
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しろくま(プロフ) - べすさん» べす様、ひょえ〜勿体ないお褒めの言葉にうち震えております(;´∀｀)リアルのお二人がますます仲睦まじい様子で、妄想も負けずにラブラブさせたいと思っています。ベす様のお話もワクワクしながら読ませていただいていまーす。コメントありがとうございました (2020年4月14日 23時) (
レス) id: 8dcb6e2f50 (このIDを非表示/違反報告)
べす(プロフ) - 完結おめでとうございます。しろくま様の味わいのあるお話は本当に“珠玉”という言葉がぴったりで心惹かれるものばかりでした。これからも何度となくお邪魔して読ませていただきます。また、先日のお優しい返信にとてもホッと致しました（涙） (2020年4月14日 17時) (レス) id: d251bf862e (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちち様〜、こんな時こそ脳内妄想で「もっとアドレナリン」です！自己生産しかない(笑)健康一番、オタ活二番で長丁場を乗り切りましょう(^o^)v (2020年4月12日 21時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - しろくまさま、最後のお話にきゅーっときて、私も妄想頑張ろうと思いました!こんな時だからこそ妄想で自由に羽ばたいてもいいんですよね！いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2020年4月10日 22時) (レス) id: b5788e234f (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様〜ありがとうございます。獣人シリーズは長編ネタだったかもしれん…とちょっと書ききれなかったネタに後悔してます←無計画。でも幸せな家族の形で終わりにできて満足です。そしてワタクシ、「はっぴーばれんたいん！！」をメチャクチャ待ってます…(///∇///) (2020年4月8日 12時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
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