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性的なやり取りが『恋人関係』だとすれば、それは10代の半ばには始まっていた。
たとえ唇をそっと合わせるだけの、おままごとのようなものであったとしても。
そのまま童話のような淡い関係が続くと信じていたひかるだったが、ある夏の夜、嵐のようにやって来たやぶに全てを暴かれた。
その時、ひかるは恋人というものがただ手を繋いで見つめ合うだけでなく、身体の奥底に隠された衝動を曝け出すものだと知った。
男くさい顔で突き上げていたくせに、全てを終えて眠り込んだやぶの顔は出会った時と同じくらい幼かった。
細い腕を枕にして、ひかるは幸福感に浸ったものだ。
……それから間もなく、二人の周りが大きく変わった。
あの夜のやぶが、そのことを誰よりも早く知らされていたのだと悟ったのは、ずいぶん後になってからだ。
荒れ狂う海に投げ込まれたような10代の後半を、なんとか泳ぎきったのは「大丈夫」「やれるよ」「何でもない」とそっと肩を抱いてくれるあの男がそばにいたからだ。
数年間、2人は互いをぴったりと支えてあっていた。
それがいつのまにか隙間ができ、少しずつ変わってしまった。
二十代になり、大人として背伸びする必要がなくなったことで関係性が変わったこともある。
それに、性的な指向があくまで男性に向けられているひかると、やぶは明らかに違っていた。
それを認めることはひかるにとって苦しいことだった。
それでも熱いコーヒーが少しずつ冷めて、カップの底にこびりつくように、この関係が乾いていったことは事実だった。
二人が肌を合わせることがなくなって、もう半年経っていた。
別れ話をしてくれたことで、ひかるは自由に次の相手を探すことができる。
あのひょろっとした男とは違う、魅力的なひとは世の中にたくさんいるはずだ。
実際、優しく声をかけてくれる男たちはそれなりにいる。
紳士的に交際の申し込みをしてくれた同世代の男もいた。
職業柄スキャンダルは避けなければならないが、芸能の世界では男性同士の恋愛は珍しくない。
……あの夏の夜は夢のようなものだった。
忘れよう──。
そんなこと、できるはずはない。
分かっている。
でも、そうしなきゃ。
赤いコーヒーカップを食器棚の一番奥にしまい、ひかるはそう思った。
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しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちちさま、ノロノロと書いていくので遅いですが必ずひかちゃんを幸せに致します。どうかお付き合いください (6月24日 0時) (
レス) id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - kirinsanmoさん» kirinsanmoさま、コメントありがとうございます。ゆっくり更新ですが楽しんでいただけると嬉しいです (6月24日 0時) (レス) @page4 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - ああありがとうございます!ありがとうございます…大切に読んでいきます! (6月18日 23時) (レス) @page3 id: 3093699708 (このIDを非表示/違反報告)
kirinsanmo(プロフ) - どんな展開になるのかワクワクします、、更新楽しみにしてます！ (6月8日 18時) (レス) @page3 id: 4bf1b7a22e (このIDを非表示/違反報告)
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