夜中 ページ19
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腹減ったな。
ひかるはゆっくり起き上がった。
ベッドサイドのスマホを見ると2時だ。
隣では寝息を立てて眠るやぶがいる。
無防備な寝顔を見ていると、愛しいような、腹立たしいような、何とも言えない感情が湧いてくる。
やぶは「うまいうまい」と腹一杯鍋を食べ、訊いてもいないのに“きりたんぽ”の蘊蓄を語り、それからデザートのようにひかるを食べてしまった。
たっぷりと時間をかけて愛された。
今のやぶの“中身”は高校生のくせに、余裕のある愛撫にひかるは翻弄された。
焦らされ、堪らなくて、身悶えして縋りつくひかるに「可愛いね」と意地悪く笑うやぶは、悔しいけれどゾクゾクするほど魅力的だった。
「ほら、もっと動いてよ。出来るだろ？」
そんなふうに煽られて、言われるままにやぶの腹の上で腰を振った。
だけど、その行為だって、今のやぶの記憶が混乱しているからで、“本当”のやぶはおれを必要としていない。
もし、この瞬間にやぶの記憶が戻ったら、コイツはどんな顔をするんだろう──。
そっとベッドを抜け出し、シャワーを浴びた。
鏡に映る自分の胸元に、幾つもキスマークが散っていることに溜息をつく。
付けるな、と怒って見せても、アイツは知らん顔で印をつけて、「ひかるは俺のモンだから」と子どもみたいなワガママを言った。
淡い紅色の箇所を指でなぞり、ひかるは「……まぁ、子どもになっちゃってるんだから、仕方ないか……」と呟く。
心の奥では、そんな恋人のワガママが愛しくてならない。
浮き立つような自分の気持ちが分かっていたが、誰に見られているわけでもないのに、誤魔化すように仏頂面を作ってキッチンに行った。
やぶに食べさせることに一生懸命になったせいで、ひかるは自分が作ったきりたんぽ鍋をあまり食べなかった。
そのあと、あれだけ“運動”したんだから、この空腹も当然だろう。
真夜中に食べる習慣はないが、軽く温めた鍋の残りをお椀によそい、まさに食べようとした時だった。
「ひかる、俺も食べたいなー」
振り向くと、ボサボサ頭で上裸のやぶがいた。
ペタペタ裸足でやってくると、背後からイスの背もたれごとギュッ抱きついてくる。
やぶの素肌が首筋に当たり、髭でざらついた頬が耳元に擦りつけられた。
「俺にも一口ちょうだい」
「一口じゃなくて、ちゃんとお椀によそってあげるから、離れろよ」
「イヤだ。ひかるから一口欲しい」
ひかるは自分のお椀とやぶの顔を見比べた。
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しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちちさま、ノロノロと書いていくので遅いですが必ずひかちゃんを幸せに致します。どうかお付き合いください (6月24日 0時) (
レス) id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - kirinsanmoさん» kirinsanmoさま、コメントありがとうございます。ゆっくり更新ですが楽しんでいただけると嬉しいです (6月24日 0時) (レス) @page4 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - ああありがとうございます!ありがとうございます…大切に読んでいきます! (6月18日 23時) (レス) @page3 id: 3093699708 (このIDを非表示/違反報告)
kirinsanmo(プロフ) - どんな展開になるのかワクワクします、、更新楽しみにしてます！ (6月8日 18時) (レス) @page3 id: 4bf1b7a22e (このIDを非表示/違反報告)
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