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“みんな”って誰を指すのか。
ひかるは早足で自分の車に戻り、溜息をつく。
やぶが自分を高校生と思っているなら、アイツの“みんな”は、誰を指しているのだろう。
もう今では懐かしさを伴うあの頃。
また涙が出そうになって、慌ててエンジンをかけた。
考えないようにしよう。
それでも考えずにはいられない。
気がつけば自宅のマンションの駐車場だった。
ボンヤリ運転していたことに気がつき、また溜息をつく。
考えても仕方ない。
アイツ、ちょっと調子崩しただけで、きっとなんかの拍子に元に戻るだろう。
そうしたら、おれは“仕事仲間”に戻る。
今朝の──今朝のあれはアクシデント、ただの気の迷いだ。
昼食を摂る気にもなれず、ソファに座っているうちに時間になった。
迎えの連絡に、気持ちを切り替えながら応じた。
迎えのクルマにはイノオがいた。
「ひかる、おはよ」
「おはよう、いのちゃんも今日レコ日だったんだ」
マスク越しに挨拶を交わし、何でもない雑談をする。
「ねー、ひかる。なんかあった？」
不意に言われ、思わず肩が浮く。
「いや、べつに、何もないけど」
「そぉ？なんか、ソワソワしてるから」
周りに関心ないフリをしているイノオが、一番周りを見ている。
ひかるはイノオの視線から顔を隠すようにキャップを深くかぶり直し、目を閉じた。
「ひかる？着いたよ」
優しい声に目覚め、自分が眠っていたことに気づく。
ありがと、と返事して車のドアに手をかけようとした時だった。
イノオは白い手をひかるの肩に置き、「やぶがどうかした？」と淡々と尋ねた。
一瞬、ひかるはこの垂れ目の頭のいい男に、全てを打ち明けてしまいたいという衝動に駆られた。
しかし、ひかるの口からは「何もないよ」と薄っぺらい言い訳しか出てこなかった。
「そんなひかるの辛そうな顔、オレ見てらんないよ」
そう言い捨て、イノオはクルマから降りて行った。
いつもならミキサー室のソファでスタッフと喋って帰るひかるだったが、自分のパートのOKを貰うとすぐに「お疲れ」とスタジオを後にした。
イノオと顔を合わせ辛かったこともあるが、やはりやぶのことが気になって仕方なかった。
送りを断り、ひかるはキャップを深く被って帰宅ラッシュで混み合う駅に急ぐ。
この時間ならタクシーより電車が速い。
スタジオからやぶのマンションまでひと駅だ。
連絡もなく家に行っても、いないかもしれない。
それでも足はやぶの家へと向かった。
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しろくま(プロフ) - ちちちさん» ちちちさま、ノロノロと書いていくので遅いですが必ずひかちゃんを幸せに致します。どうかお付き合いください (6月24日 0時) (
レス) id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - kirinsanmoさん» kirinsanmoさま、コメントありがとうございます。ゆっくり更新ですが楽しんでいただけると嬉しいです (6月24日 0時) (レス) @page4 id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - ああありがとうございます!ありがとうございます…大切に読んでいきます! (6月18日 23時) (レス) @page3 id: 3093699708 (このIDを非表示/違反報告)
kirinsanmo(プロフ) - どんな展開になるのかワクワクします、、更新楽しみにしてます！ (6月8日 18時) (レス) @page3 id: 4bf1b7a22e (このIDを非表示/違反報告)
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