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「こうなることが分かっていて、姿を消したんだろう。彼らしいな」
高木はバーボングラスを掲げて「伊野尾くんに乾杯」とおどけ、有岡もワイングラスを掲げて「いのちゃんに乾杯」と笑う。
「俺、あんなに頑張って告白したのに、結局いのちゃんから返事はもらえませんでしたよ」
「返事なんかするつもり、なかったかもな」
くくくっ、と喉の奥で笑う高木に、有岡は「ひでぇなぁ」と口を尖らし、「あれから光君はどうしてるんですか？」とチクリと嫌味を投げる。
「光か……どうしてるんだろうな」
「連絡、とっていないんですか？」
意外そうに有岡が目を丸くしたのを見て、高木はネクタイを緩める。
「勘違いすんな。もう光と俺は何の関係ない。
やつが元気ならそれでいい。アンタの薬を飲んでるお陰で、光は元気なんだ。
次に開発する薬は問題のないものにしてくれよ」
「簡単に言わないでくださいよ」
有岡は冗談めかして言ってから、グイッとワインを飲み干す。
「ウチの会社、買収の話もでているくらいなんですけど、意外にも知念議員が何かと気にかけてくださっているんですよ。
なんでも、知念議員の息子さんが薮君と光君の知り合いだとか……よく良からない理由ですけど。
どこでどうつながっているか、分からないものですね」
「そうだな。俺も、アンタとサシ飲みするようになるとは思っていなかった」
「これも、光君といのちゃんのおかげってことですかね？」
二人は顔を見合せて苦く笑った。
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「Kei」
名前を呼ばれて、伊野尾慧は年下の男の腕の中で目覚めた。
匂いが、体温が、シーツが、なにもかも「彼」とは違い、瞬時にここが新しい男のベッドの中だと思い出す。
「Marius、
「Guten Morgen……、Kei、たかきって名前を呼んでたよ。妬けるな」
男に柔らかく髪を撫でられながら、不意に出された高木の名前に、伊野尾の胸の奥に痛みが走った。
「それは、犬の名前」
うそぶいて、起き上がる。
ミュンヘンに来て2週間。
「ねぇ、Kei、日本を離れる気はないってずっと断っていたのに、どうして急に引き抜きに応じる気になったんだ？
ピロ―トークというにはあまりにも核心をついた質問に、伊野尾は薄く微笑むだけで答えない。
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しろくま(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます。完結してしばらく経つお話ですが、楽しんでいただけていると、すごく嬉しいです★春から夏にかけて書いたホリッカーのあと、秋になってから始めたお話「あなたたちは誰だったの」連載中です。そちらにもぜひどうぞ（笑） (2018年10月31日 19時) (
レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ホリッカータウン、読了していませんが、すごく面白いです！設定も文章の書き方も読みやすいし、どんどん続きが気になります！でも、全部読んじゃうのが惜しいくらい面白いです。 (2018年10月31日 11時) (レス) id: 4f6a869bfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ney-koさん» ney-ko様、今回も遊びに来ていただきありがとうございました。キュンキュンしていただいて、うれしいです〜。ショタやぶ…気に入っていただけてニヤニヤしちゃいます。ぜひまた遊びに来てくださーい★ (2018年8月22日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ハラハラドキドキなお話で胸もキュンキュンしまくりでした〜！やぶひか、くっついて良かったです(*´ `*)幼い薮くん設定、素敵ですねぇ。ご馳走様でしたttttt (2018年8月21日 23時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、最後までありがとうございました。松濤のぼっちゃま、あーりー（笑）お話しの中で実は一番気に入ったのがあーりーです★ただし、どう考えてもありいのでは終わらなかった…そのため、こんな終わり方ですわ〜。どっちもイケる…深く賛同いたします。 (2018年8月21日 0時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
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