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じゃり、と軽い音を立てて宏太のスニーカーが地面を蹴る。
「侑李は無事だよ。一応、念のために入院したらしいけど、今朝侑李から電話があってさ、相変わらず毒舌だったよ。
有岡製薬が、侑李のオヤジさんを牽制するためにやったらしいけど……事件にはならないらしい。
穏便に事を済ますんだと。オトナの世界はよくわかんねーな」
温かな缶コーヒーを一口飲んで、光はふぅ、と安堵の吐息をつく。
「そうなんだ……侑李が無事でよかった……」
「光が心配してたって言ったら、今度は光と一緒に遊んでやってもいいって言ってたぞ？」
「ふふふ、侑李らしい」
強い春風が吹き、宏太の前髪を揺らした。
前髪に隠された傷を目にした光の顔が曇り、宏太は背伸びしながら「あーあ、俺も花見に行きてーなー」と声を張った。
「この近くに花見の名所があってさ、さっきの親子連れ、多分そこに行くんだよ」
言葉を切り、光の横顔を見る。
こうしてベンチに座っていると、俺たちは普通の友達に見えるだろうか。
確かに、店長も光のことを「友達」と言っていた。
そうだ――同世代の男同士、友達が普通だ。恋人なんて、とんだバカげた話じゃねぇか。
昨夜、確かに光は「さよなら」と言った――あれは、恋愛ごっこへの別れを告げたんじゃないのか。
甘く乱れる光の白い肢体が脳裏に浮かびそうになったが、宏太は缶コーヒーを飲み干すことでその衝動を誤魔化した。
春の日差しに包まれた公園には幼い子供の歓声が響き、光のコートに似たタンポポの黄色が風に揺れている。
憑き物が落ちたような気になり、宏太は無邪気さを装って光の薄い背中をパンッと叩いた。
「な、今夜、夜桜見にいこーぜ。屋台とか出てるから、結構楽しめるからさ」
じゃり、と今度は光のスニーカーが地面を蹴る。
「なあ、宏太」
光はまた地面を蹴り、砂埃が小さく舞った。
「昨夜さ、宏太が帰ったあと、高木さんから色々言われたんだよ。
サライトみたいに依存性があっても飲み続けるクスリと、俺を一緒にするのかって……」
「……どういうこと？」
「俺、高木さんに振られた。飛車のヘッドも、もうやめろって言われた……」
ポタリ、と光の大きな瞳から涙がこぼれ、とっさに宏太は光の目元を親指で拭う。
次々と溢れて来る雫に、宏太は途方に暮れた。
「高木さんね、優しいんだよ。俺――俺のこと、振ってくれた。
依存しなくていいってことだよね。俺、自由になったんだ」
80--諦念--tkhk+ytkt→←78--視線--ybhk
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しろくま(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます。完結してしばらく経つお話ですが、楽しんでいただけていると、すごく嬉しいです★春から夏にかけて書いたホリッカーのあと、秋になってから始めたお話「あなたたちは誰だったの」連載中です。そちらにもぜひどうぞ（笑） (2018年10月31日 19時) (
レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ホリッカータウン、読了していませんが、すごく面白いです！設定も文章の書き方も読みやすいし、どんどん続きが気になります！でも、全部読んじゃうのが惜しいくらい面白いです。 (2018年10月31日 11時) (レス) id: 4f6a869bfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ney-koさん» ney-ko様、今回も遊びに来ていただきありがとうございました。キュンキュンしていただいて、うれしいです〜。ショタやぶ…気に入っていただけてニヤニヤしちゃいます。ぜひまた遊びに来てくださーい★ (2018年8月22日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ハラハラドキドキなお話で胸もキュンキュンしまくりでした〜！やぶひか、くっついて良かったです(*´ `*)幼い薮くん設定、素敵ですねぇ。ご馳走様でしたttttt (2018年8月21日 23時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、最後までありがとうございました。松濤のぼっちゃま、あーりー（笑）お話しの中で実は一番気に入ったのがあーりーです★ただし、どう考えてもありいのでは終わらなかった…そのため、こんな終わり方ですわ〜。どっちもイケる…深く賛同いたします。 (2018年8月21日 0時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
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