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「いいぜ。よけりゃ、これからここに上がって来いよ。有岡大貴さん」
高木は低く笑い、部屋番号と暗証番号を有岡に伝えた。
有岡は急に高木が割り込んできても少しも動揺した様子はなく、『あと10分で行くから――いのちゃん、待ってて』と優しく言い置いて電話を切った。
「…っ、たかきっ！どういうつもりだよっ！」
珍しく声を荒げる伊野尾に、高木は「さすがに着替えるわ、これじゃあまりに露骨だろ？」と含み笑いをしてウォークイン・クローゼットのある、客用寝室へと消えた。
苛立ったまま、伊野尾はグラスにダバダバと白ワインを注いで、水のように飲み干した。
あまりアルコールに強くない伊野尾の白い頬や貝殻のように形のいい耳朶が赤く染まる。
ダークスーツに着替えて出て来た高木は、アルコールの摂取量に比例して色気の増した伊野尾に苦笑する。
「せっかくシャワーで色っぽさを洗い流したのに――まるで『事後』にしか見えないな。
伊野尾くん、いいのか？せっかくの金づるだろ」
「……うっさい……」
不機嫌極まりない伊野尾の額に、高木はひとつキスを落とす。
その時、インターフォンが鳴った。
「へえ……いい部屋だね」
部屋を見まわして鼻の下を擦る有岡に、高木が「ようこそ」と微笑みかける。
「高木雄也、さん？はじめまして。有岡大貴です」
くりくりと黒い瞳を動かして、有岡は人懐っこい笑顔で高木に握手を求めた。
「高木です。社長とはお会いしていますが、息子さんとは初めてですね？
いつも社長にはお世話になっております」
電話越しとは対照的に、高木は丁寧な物腰で応じた。
「伊野尾くんから、有岡さんのことは伺ってますよ」
「そうでしょうね」
高木の微妙な牽制に肩をすくめた有岡に、伊野尾は舌打ちする。
「急になんだよ。有岡くん――こんな時間に」
「ごめんごめん。でも、すぐ言いたかったんだよ」
悪びれない有岡に伊野尾はまた舌打ちをひとつ。
二人の前に、高木がコーヒーを淹れて「どうぞ」と勧める。
「伊野尾くんがちょっと酔っぱらっているみたいだから、申し訳ないけど、コーヒーで」
「おかまいなく。
こちらこそ、夜分に失礼かと思ったんですけど、逆にいい機会かと思ったものですから」
そう答えた有岡が小さくクスリと笑い、伊野尾が険を含んだ目で見遣る。
「やだな、いのちゃん。そんなに睨まなくていいじゃん。
銀龍会の高木雄也にコーヒー淹れてもらうなんて、贅沢だなって思っただけだよ」
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しろくま(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます。完結してしばらく経つお話ですが、楽しんでいただけていると、すごく嬉しいです★春から夏にかけて書いたホリッカーのあと、秋になってから始めたお話「あなたたちは誰だったの」連載中です。そちらにもぜひどうぞ（笑） (2018年10月31日 19時) (
レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ホリッカータウン、読了していませんが、すごく面白いです！設定も文章の書き方も読みやすいし、どんどん続きが気になります！でも、全部読んじゃうのが惜しいくらい面白いです。 (2018年10月31日 11時) (レス) id: 4f6a869bfd (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ney-koさん» ney-ko様、今回も遊びに来ていただきありがとうございました。キュンキュンしていただいて、うれしいです〜。ショタやぶ…気に入っていただけてニヤニヤしちゃいます。ぜひまた遊びに来てくださーい★ (2018年8月22日 19時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ハラハラドキドキなお話で胸もキュンキュンしまくりでした〜！やぶひか、くっついて良かったです(*´ `*)幼い薮くん設定、素敵ですねぇ。ご馳走様でしたttttt (2018年8月21日 23時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みるみるみるきーさん» みる様、最後までありがとうございました。松濤のぼっちゃま、あーりー（笑）お話しの中で実は一番気に入ったのがあーりーです★ただし、どう考えてもありいのでは終わらなかった…そのため、こんな終わり方ですわ〜。どっちもイケる…深く賛同いたします。 (2018年8月21日 0時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
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