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「おい、光。ちょっと待て。言い忘れたことがあった」

寂しそうな背中に向かって呼びかける。

立ち止まり、振り返る。光の不審そうな顔。



「スマホのことを言い忘れてた」

「…なに?」

光のそばに駆け寄る。

「俺のスマホ、割れてただろ。でも変えてないだろ」

こくりと光がうなづく。

「見て、気づかなかったか?」

光は不思議そうに首をかしげる。

「あれ、…あのiPhone、光とおそろいなんだ。だから、買い換えできないんだよ」

一気に言ってしまう。

「光と同じやつ、持っていたかったから、同じのにしたんだ。…気づかなかったか?」

「…気づかなかった」

限定版のiPhone。

新しいもの好きの光が買ってきて、始終手離さないのを見たら、たまらなく欲しくなった。

光が大切に持っているから。



息を整える。

「俺は、本当は光のスマホじゃなくて、光が欲しいんだ」

「え」

絶句。

光の目が見開かれる。



俺は覚悟を決めた。この言葉を口にしたらもう光はそばにいなくなってしまう。

でも、言う。

「愛してる、光。ずっと前から」


…バルスだな。

ラピュタの破壊の言葉だっけ。

光が間違ってよこしたメッセージ、あれは二人の関係が壊れる予言だったのかな。

そんなことを頭の片隅で思いながら、光の顔を見つめる。

もうこんな近くで見ることはできないかもしれない。

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しろくま(プロフ) - aiwish1107promeさん» ありがとうございました。楽しんでもらえてとっても嬉しいです。次作もどうぞお願いします。コメントありがとうございました。 (2017年10月24日 6時) (レス) id: 49be884ef1 (このIDを非表示/違反報告)
aiwish1107prome(プロフ) - しろくまさんへ。とってもとってもキュンキュンしまくって読ませて頂きました!ニヤニヤがおさまらないです。また読ませてください! (2017年10月24日 2時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みさん» ありがとうございました。呼び名はちょっと現実とはかけ離れてます。すみません。気にせず楽しんでください。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 通りすがりのお節介。さん» ありがとうございます。外しました。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのお節介。 - おはようございます。 芸能人さんを取り扱っているようでしたらオリジナルフラグは外して下さいね? (^_^;) (2017年10月22日 5時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろくま | 作成日時:2017年10月21日 6時

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