★おまけ★chocolate kiss ページ28
---やぶ
「これ、どーぞ。新曲の大ヒット、おめでとうございます」
毎年恒例の甘い甘い行事。
Valentine。
女性スタッフ一同、と書かれた、あからさまに「義理」チョコを、メンバー代表としてありがたく頂戴する。
バレンタインの日に新曲が発売になる。
セールスも上々で、スタッフみんなの機嫌がいい。
俺たち演者側だってうれしい。
ラジオの番宣を頑張って、良かった。
「これー、チョコもらったから置いとくぞー」
楽屋のテーブルにでかいチョコの箱を置く。
「どんなのかなー」
一番に覗きに来るのは山田だ。
「あっこれ、今大人気のショコラトリーのだ。やったー、まだ俺食べてなかったんだよね」
箱を開けて、色とりどりのチョコの粒に、山田の瞳がキラン、と光る。
「あっーーー!涼介、まだ食べたらだめっ、ぼくの後に選んで」
知念がそう言って山田を制し、すばやく駆け寄ると、コレとコレ、と選び取って、パクリと口に入れる。
「それっ、俺が食べたかったのに〜」
山田が悲鳴じみた声を上げる。
まだ、子供っぽいなぁ。
山田と知念のやりとりにあきれながら、光が横になって占領しているソファの端に座る。
「――薮は、チョコもう食べた?」
寝てると思ったけれど、光は目を閉じていただけらしい。
「いいや、食べてない」
「ふーん」
光は生返事をしながらゆっくりと上体を起こした。
ふぁあ、と、猫みたいにあくびをひとつして、涙目になったまま俺の方を見る。
「来る?」
「あ、うん。行く」
主語も目的語もない光と俺の会話。
極端に削り取られた言葉の裏には、詰め込めないほどの言葉がたくさんあって。
仕事終わりに、俺はそのまま光のマンションへ。
道順はもうばっちりだ。
ドアのロックが開き、光は優しく微笑みながら、俺を招き入れた。
すぐにだって、がっつきたいけれど。
ロマンチストの光には、甘く振りかけた魔法が必要だ。
「薮、これ……作ってみた」
はにかむ光の手には、可愛く盛り付けられたチョコケーキ。
「……食べて?」
こてん。
光が首をかしげて言い、俺は心臓を貫かれた。
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しろくま(プロフ) - aiwish1107promeさん» ありがとうございました。楽しんでもらえてとっても嬉しいです。次作もどうぞお願いします。コメントありがとうございました。 (2017年10月24日 6時) (レス) id: 49be884ef1 (このIDを非表示/違反報告)
aiwish1107prome(プロフ) - しろくまさんへ。とってもとってもキュンキュンしまくって読ませて頂きました!ニヤニヤがおさまらないです。また読ませてください! (2017年10月24日 2時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みさん» ありがとうございました。呼び名はちょっと現実とはかけ離れてます。すみません。気にせず楽しんでください。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 通りすがりのお節介。さん» ありがとうございます。外しました。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのお節介。 - おはようございます。
芸能人さんを取り扱っているようでしたらオリジナルフラグは外して下さいね?
(^_^;) (2017年10月22日 5時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくま | 作成日時:2017年10月21日 6時