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髪、乾かしてくる…と光は何故かつまらなそうに言って、部屋を出ていく。
再び一人になり、改めてしげしげと部屋を見渡す。
男一人暮らしにしてはキレイに片付いている。
でも、神経質な綺麗好きの部屋じゃなくて、適度に光の存在が見え隠れする。
ベースのカタログ、伊達メガネ、レギュラー番組のロゴ入りステッカー、俺らのライブDVD…
ああ、光の家に居るんだ。
しみじみと実感する。
時刻はもうすぐ0時。
光が金髪をふわふわにして帰ってくる。
か、かわいい。
「お帰り」
「ん」
なぜか珍しく素直にうなずき、じゅうたんに直にペタッと座りこむ。
赤いじゅうたん。
白いバスローブ。
赤い空飛ぶじゅうたんに乗った、白いドレスのお姫様。
これは…もう、我慢できなくても仕方ない…ってレベルじゃねーの?
「光」
覚悟を決めて呼ぶ。
「なに」
振り向いた光の肩をそっと抱き、そのまま体重をかける。
バランスを失い、ふたりともじゅうたんの上に倒れ込む。
その拍子に俺の足がローテーブルに当たり、夫婦茶碗が、ガチャリ、と派手な音を立てた。
「あっ」
光が慌てて起き上がる。
「やぶ、タオル!!!」
「え?」
「タオルだよ!!!お茶がこぼれた!早く持ってこい!!じゅうたんがシミになるだろっ」
へどもどするだけの役立たずの俺をガン無視して、光はサッサと後始末をする。
片付けが終わると、光は「ほんとに、もう…」と、大きくため息をついて、
「行くぞ」
と、小さくなっている俺をにらむ。
「…どこへ?」
「どこって、ベッドへだよっっ、この馬鹿。これ以上、やぶに部屋を汚されたくないっ」
…ってことは。
光の顔はじゅうたんに負けないくらい真っ赤。
ああ、俺の光はかわいい。
覚悟を決めた、俺たちに似つかわしい夜。
ふたりの夜はこれからだ。
---おしまい---
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しろくま(プロフ) - aiwish1107promeさん» ありがとうございました。楽しんでもらえてとっても嬉しいです。次作もどうぞお願いします。コメントありがとうございました。 (2017年10月24日 6時) (レス) id: 49be884ef1 (このIDを非表示/違反報告)
aiwish1107prome(プロフ) - しろくまさんへ。とってもとってもキュンキュンしまくって読ませて頂きました!ニヤニヤがおさまらないです。また読ませてください! (2017年10月24日 2時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みさん» ありがとうございました。呼び名はちょっと現実とはかけ離れてます。すみません。気にせず楽しんでください。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 通りすがりのお節介。さん» ありがとうございます。外しました。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのお節介。 - おはようございます。
芸能人さんを取り扱っているようでしたらオリジナルフラグは外して下さいね?
(^_^;) (2017年10月22日 5時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくま | 作成日時:2017年10月21日 6時