24 hk ページ24
低いささやきに身震いする。
ふにゃふにゃ笑顔のまま、そんな鬼畜なセリフ、よく言えるな。
「………脱ぐ、自分で」
鬼畜のやぶに脱がされるよりはマシだ。
勢い良くシャツを脱ぎ、肌にまとわりつくジーンズを脱ぎ、ついでに下着も脱いで、ひとまとめにやぶに向かって投げつける。
べちゃっ、と思いのほか大きな音を立てて、ふにゃ顔に命中する。
「っっ痛って」
水を吸って重くなった服の威力に、やぶの腕の力が弱まった。
するりと抜け出す。
浴室から出て行こうとした俺の背後から、「逃がさねーよ」とやぶの鋭い声。
再び背中から抱きしめられる。
吐息がシャワーの熱さと一緒に耳にかかる。
直に肌にあたる。やぶの身体。
「……逃げんなよ、光。
もう、逃げなくていいんだよ、俺ら」
さっきの鬼畜と同一人物とは思えない、優しいトーンのやぶの声に、緊張とか、嫌悪感とか、体裁とか、羞恥心とか、そんなものが一気に溶けていく。
力を抜いた俺を、やぶはそっと正面から抱きしめる。
「愛してるよ、光」
思わず目を閉じる。
軽い、ふんわりした何かが俺の唇にそっと触れ、離れる。
目を開けると、微かに、何かにおびえたような、やぶの顔。
俺の言葉を待っているんだ。
やぶの言葉に応じる覚悟を決めるまでに、いったいどれくらいの時間がかかっただろう。
熱いシャワーの音だけが響く。
やぶは根気強く待ってくれた。
「………俺も、……愛してる」
言ってしまってから、気絶しそうに恥ずかしくって、もうやぶの顔なんて見てらんねー。
「んじゃ、俺、先に出とくわ。光もあったまってから出ろよ」
さらりと言い残し、浴室から出て行く。
結局、やぶにはかなわない。
231人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろくま(プロフ) - aiwish1107promeさん» ありがとうございました。楽しんでもらえてとっても嬉しいです。次作もどうぞお願いします。コメントありがとうございました。 (2017年10月24日 6時) (レス) id: 49be884ef1 (このIDを非表示/違反報告)
aiwish1107prome(プロフ) - しろくまさんへ。とってもとってもキュンキュンしまくって読ませて頂きました!ニヤニヤがおさまらないです。また読ませてください! (2017年10月24日 2時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - みさん» ありがとうございました。呼び名はちょっと現実とはかけ離れてます。すみません。気にせず楽しんでください。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 通りすがりのお節介。さん» ありがとうございます。外しました。コメントありがとうございました。 (2017年10月22日 10時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのお節介。 - おはようございます。
芸能人さんを取り扱っているようでしたらオリジナルフラグは外して下さいね?
(^_^;) (2017年10月22日 5時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろくま | 作成日時:2017年10月21日 6時