さぁ覚悟を決めて【ybhk】

23 hk ページ23

苦悩したやぶが浴室に消えてから30分。

いくらなんでも……長くね?

よく人んちで30分も風呂に入れるな。

やぶの長風呂は知ってるけど…

お酒飲んだ後だったし、まさか倒れたりしてねーだろうな。

何かの番組で、お酒飲んだ後の入浴リスクとか、見たことある。

不安がこみ上げる。

「やぶ?」

そっと覗く。

脱ぎ散らかした、としか言いようのない脱衣所。

すりガラス越しの浴室はしん、として水音一つしない。

ギュッと心臓が痛くなった。



まさか、まさか?

「やぶっ」


浴室のドアを開けると、力強い腕が俺の肩を抱いた。

同時に、頭から勢いよくシャワーがかけられる。

俺が浴室に来るように仕向けたんだ!!!

その瞬間にすべてを理解して、俺は猛烈に腹が立った。

「てっめっ、やぶっっ」



抱かれたまま至近距離で見るふにゃふにゃの笑い顔。

髪の毛からぽたぽた雫を垂らして。

「捕まえた」

「くそやぶっっ!!捕まえたじゃねーよっ
びっしょびしょになったじゃねーか、この馬鹿!」

「だって、さっき、光が、『捕まえてごらんなさーい』とか言って逃げてたじゃん?
ずげぇ可愛かったよ」

照れ隠しと酔っぱらった勢いで言った言葉。

「ちげーよっっ、こーゆーことじゃねーしっっっ」

俺の悪態にも、ふにゃふにゃと笑いながら、俺をしっかりと抱きしめてシャワーをかけ続ける。

そのユルい笑顔からは想像できない力で俺の肩を押さえつける。

俺の細い腕とは違う、スポーツしてますっ、ていう健康的な腕。



濡れた服越しに感じるやぶの裸の身体。



「だあぁぁぁーーーーーーっっっっ、もう、やめろ、キモイキモイキモイ」

髪もシャツもズボンも、シャワーを浴びてぐっしょりと重い。

ガチで気持ちわりぃ、濡れた髪も、服も、…やぶにえろい気分になってしまった自分も。

「服着たままなんだぞっっっ!!!」

「じゃあ、脱いじゃえば」

……今、なんて言った?

驚いて、一瞬抵抗を止めた。

やぶはそのタイミングを見逃さない。


片手で俺を抑え込んだまま、片手で俺のシャツのボタンを開ける。

「こんなに濡れたら、どうせ脱ぐしかないだろー」

俺の耳元にぐっとやぶの唇が近づく。

「…どうする?俺が全部脱がそっか?それとも自分で脱いじゃう?

俺はどっちでもいいよ。光が好きな方で。

……なんだったら、服着たままヤってもいいけど?」

24 hk→←22 hk

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す