通学電車【YG】 (ページ8)

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7話ページ8

カーテンの隙間から入る日差しが眩しくて、痛い。

A(もう、朝なの？)

鳴り止まない目覚まし時計を止めようとして、私は手を横に伸ばした。

A「·····ん？」

なんだろう。

目覚まし時計のプラスチックの冷たさを予想していたのに、私の手に温かい感触が伝わった。

例えるなら、人肌、のような····。

ぼんやりした意識のまま、手探りでそれを触る。

？「····んん」

A「!?」

い、今····人の声がしたような。

起きぬけの回らない頭で、ゆっくりと隣へと視線を動かす。

A「······ありえない、でしょ」

私の隣には····隣で寝ているその人物は、どうみても、あのシュガだった。

日だまりの中、スースーと規則正しい寝息を立てている。

何度見ても、間違いない。

シュガだ。

電車の中の、あのシュガだ。

一年間もシュガの姿を追っていた私が、シュガを間違えるはずがない。

A(これは、夢？私、まだ寝ぼけているの？)

ごしごしと何度も目を擦る。

そうだよ、夢だよ。

だって、こんな状況ありえないもの。

とりあえず、夢かどうか確かめる為に自分の頬をぎゅっとつねってみた。

A「痛っ！」

かなり強くつねったから、頬がじんじんする。

はっきり言って、すごく痛い。

痛すぎて涙目になる。

A(でも。痛いってことは、夢じゃないってことだよね？)

？「自分で自分の頬つねって、痛くないのか？」

鼻にかかった低い声。

でも、すごくいい声。

····シュガの声だ。

シュガが友達といた時に一度だけしか聞いたことないけど、間違いなく、シュガの声だ！

はちみつ色の光の中に、紛れもなくシュガがいた。

これは、夢？

それとも現実？

しばらくの間、お互い見つめ合う。

どうしていいかわからない私と、私を見つめたまま何も言ってくれないシュガとの間に沈黙が続く。