子育て短編集【アイナナ】 (ページ42)

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環パパページ42

四葉由(ゆいと)くん 16歳(高1)
四葉鈴(れいな)ちゃん 10歳(小4)
逢坂壮歌(そな)ちゃん 16歳(高1)

バレンタインデー

由「ただいま」

A「おかえり、機嫌いいね」

機嫌がいいというか、ニヤニヤしてる。

環が王様プリンを食べている時のような、幸せそうな顔。

鈴「お兄ちゃんおかえりなさい！壮歌ちゃんとは…んぐぐっ」

壮歌ちゃんの名前を出した途端に慌てて口を塞ぐ由。機嫌がいいのは壮歌ちゃん絡みか。

A「はっはぁ～ん、今日バレンタインだから…」

由「うっさい！れいも、余計なこと言うな！」

耳まで真っ赤にして、二階への階段をドスドスと駆け上っていく。

その背中を見ながら、鈴と笑い合う。

A「いいな～青春だ」
鈴「れいなね、友チョコいっぱい交換した～」
A「おお、良かったじゃん」

環「ただいま～、いっぱい王様プリン貰った」

カラカラ、と瓶の音が高く鳴る。ダンボールを抱えて嬉しそうな環。

A「まさか、その箱…」
鈴「全部王様プリン…!?」

環「おーよ、って何この袋の山」

カラン、と音を立ててダンボール箱を床に置く。

環が見ているのは、由の持ってきたチョコレート。

由「あ、父さんおかえり。…いらねーっつってんのに女子が押し付けてくんの」

鈴「じゃあれいながチョコ食べていーい？」

「好きにしろ」と言いながらも、赤いラッピングの袋を1つ、こっそりチョコの山から抜き取って背中に隠した。

A「ふーん、好きにしろ…ねぇ？」

環「へー、その赤い紙袋なんだよ？」

鈴「えっ何なに？れいなに見せて～」

3人で由を問い詰める。鈴は純粋に、好奇心なのだろうけど。

由「うっせー！まじうっせぇ、1個くらい食ったっていいだろ！」

A「はいはい、壮歌ちゃんにちゃんとお礼言ってね」
鈴「やっぱり壮歌ちゃんのなんだーっ！」
環「ほらほら、部屋で食うんだろ？」

しっし、と手を払う仕草。バチーンとウインクをカマして笑う。

鈴「れいなも部屋で食べてこよっと」

パタン、と扉が閉じるリビング。

子どもたちが部屋に行ったのを確認して、そっと後ろから私の肩に腕を回す。

環「チョコ、ちょーだい」

A「王様プリンはいいの？」

環「ばっか、Aの手作りチョコが1番だし」

また惚れ直す。チョコを渡す前に甘いキス。

本当は王様プリンより、チョコより＿＿＿