＃９８ お礼のお礼 ページ3
ーside shoー
リハに入った時セットの上にいたのが友田さんだった
見守るようにして、ゲストさんと一緒に説明を受ける
そのリハを担当してた彼女が階段を降りようとしてるのが目に留まって…気が付いたんだ
結構必死に手すりっつーか…セットの壁につかまりながら降りてて…
降りた途端にちょっと呼気を漏らす
それを見てピンと来たんだよね
あ、俺と一緒で高いとこ苦手なんだろうなって
「興味ない」って言いかけた彼女がしまったって顔する
だけどそんなのお構いなしに、俺はその状況をちょっとだけ喜んだ
だけど…
だけど俺がリハをやってる間に彼女がいなくなってて、なんだって一瞬思って
降りてったらまたちょっとこの話で盛り上がれたらって思ったのにいないんだって残念に思う俺がいて
簡単にリハを済ますと、彼女と同じようにしてセットを降りる
ま、しょうがねーかと待機場所へと向かおうと足を進めたら
「あの」
翔「え…」
「これ」
翔「え？」
「どうぞ」
小さな手に、小さな飴が握られていた
翔「え？(笑)」
「あげます」
翔「なんで(笑)さっきの詫び？」
「…お礼のお礼」
翔「は？」
「前に…ガム頂いたの忘れてたんで…」
翔「あ…ぁ(笑)」
それこそそんなことすっかり忘れてた俺に突然の贈り物
一瞬さっきの詫びかと思った俺がバカみたいじゃん(苦笑)
ある意味自意識過剰だっつーのって思ったけど…
「すいませんでした」って小さく呟く彼女
やっぱり…詫びも入ってんだって思ったら、今度はすっげ〜笑えた
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作者名：さくらさく
| 作成日時：2016年8月16日 0時
