検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:13,969 hit

弐佰肆拾陸頁─両組織ノ困惑 11─ ページ20

「A、こっちにおいで。先に準備するよ」




蝶の髪飾りをつけた女性が手招く。

女性は医務室らしき部屋の扉を開けていた。

中也に軽く背中を押されたのを不満に思いつつも小走りで向う。

其処は仄かに消毒の匂いが漂っていた。




「その服じゃ元に戻ったときに色々と拙いだろう?取り敢えずこれに着替えときな」




そう云って渡されたのは、白のゆったりとしたワンピースのような病衣。

肩部分を持ち体に当てた私はその大きさにびっくりする。




『(え、こんなに大きくなれるの私。てっきり異能の使いすぎで身長は伸びないと諦めてたのに)』

「こうして改めて見ると、やっぱりあの時治療した少女はアンタだったみたいだね」

『治療...?』

「妾の異能だよ。昔、酷い怪我で運ばれてきてね」




昔......一体、何年前のことだろうか?

覚えている限りではそんな大怪我をした記憶が無いので、あるとしたらマフィアに連れてこられる前。

思えば森さんにそんな話をされたことがあるような、ないような。




「左目失明、右腕損傷。特務課にも何人か治癒異能者がいるけど間に合わなかったんだろうね。丁度瀕死の重傷が異能の発動条件な妾が選ばれた」

『......!』




女性の言葉に息が止まる。

同時に思考も止まりかけるが嘘をついていないことだけは判った。

気付けば私は片膝をつき頭を下げていた。




『そのような貴重な能力を私に使っていただきありがとうございます。救われたこの命、ぜひ貴女の為にも』

「やめておくれ。そういう仰々しくて堅苦しいのは苦手だ。その気持ちだけ有難く受け取っておくよ」




女性は恩に着せるでも見栄を張るわけでもなくひらひらと手であしらい、そのままサッとカーテンを閉められてしまった。

...これは本心なのに。


仕方なく病衣に着替えていく。

あの様子だと今のこの状態だから云っただけで、何かあっても私に話すつもりは無かったんだろうな。

元に戻っても覚えてると善いけど。


着替え終わったのとほぼ同時に奥で扉の開く音が聞こえた。

弐佰肆拾漆頁─両組織ノ困惑 12─→←弐佰肆拾伍頁─両組織ノ困惑 10─


ラッキーカラー

あずきいろ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
504人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:煉華 | 作成日時:2023年1月26日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。