58 ページ8
.
そういえば私は、ジョングクくんの家族に一度もあったことがなかった。
今更だけど驚きの事実。
目の前で目を輝かせているお兄さん。
右手を見るとなぜかニンジンが握られている。
…と、とりあえず挨拶しないと。
「はじめまして。Aです」
「はじめまして〜」
「あの、ジョングクくんいますか？」
「うん！自分の部屋で寝てると思う！」
「あ、寝てるんですか？」
「夕飯まで寝てるんだよいつも。いいよ！勝手に入っても！どうぞ！！」
そう言ってソクジンさんは私を家の中に招き入れてくれた。
「おじゃまします」といつもより控えめな声で行って、ジョングクくんの部屋へ続く階段を見上げる。
「じゃあ俺、夕飯作ってるから！ごゆっくり！」
「あ、はい。ありがとうございます」
なるほど。
夕ご飯を作ってたのね。
それでニンジンを…。
ソクジンさんに言われた通り、こっそりジョングクくんの部屋に向かう。
驚くかな？
でも寝てるんだよね？
起こしたらどんな反応するんだろ？
自然と笑みが溢れてしまう。
いろんなパターンのジョングクくんを想像しながら、静かにドアを開けた。
電気は消えていて、薄暗い。
ベッドでは布団を掛けずにお腹を出して寝転んでいるジョングクくん。
部屋は彼の寝息が響いている。
ドキドキしながら、ジョングクくんの側に寄った。
そっと肩に触れる。
何も変わらず眠り続けている。
ぽんぽん、と肩を叩くと寝返りをうって壁の方を向いてしまった。
「ん〜」と言葉にならない声を発してから、また寝息をたて始める。
「ジョングクくん…」
耳元で呼びかけて、肩に触れた。
なぜがとってもドキドキして、私の心臓の音で起こしてしまうんじゃないかと思うほどだった。
「ねえ、ジョングクくん」
もっと耳元に近づいて、名前を呼ぶ。
「ん、、」
目が覚めはじめたのか、体を大きく捻って突然仰向けになった。
「わ、」
ジョングクくんの力強い腕に、私のなんの筋肉もない弱っちい腕が引っ張られて、自然と彼の方へ倒れる形になる。
慌ててベッドに手をついて倒れるのを堪えて、目の前には彼の胸板。
心臓の動きがどんどん早まって、体が熱くなる。
「…スジン？」
「え、」
ジョングクくんが呼んだのは、私の名前じゃない。
恋人の名前。
「…スジン？どうしたの？」
私は何も言葉を発することが出来なかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2680人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラン(プロフ) - kuniさん» コメントありがとうございます！最後まで読んでもらえて光栄です^o^こちらこそ、ありがとうございました！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
kuni(プロフ) - 感動とドキドキをありがとうございました☆ (2018年9月3日 18時) (レス) id: 55aa09b952 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - まななさん» コメントありがとうございます^ ^最後まで読んでもらえて嬉しいです！これからも頑張ります〜！ (2018年8月31日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
まなな - すごく感動しました！！ずっと、ドキドキもしてました笑いいトーリーですね！これからも頑張ってください！ﾌｧｲﾃｨﾝ！ (2018年2月18日 21時) (レス) id: edb3cec0d0 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - てぃもさん» コメントありがとうございます！読み返してもらえるなんて感激です！！ (2018年1月3日 15時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソラン
| 作成日時：2017年4月9日 1時
