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ジョングクくんのその言葉で、私の胸の苦しみはゆっくりと治り始めていた。
「ちょ、ジョングク…?」
ジミンの困惑した声。
「ヌナの素敵な部分を教えてあげようか?」
「えっ、と、」
「まあ付き合ってたくせに分からなかったヒョンには教えても意味ないと思いますけど」
「なっ、なんだよその言い方!俺の方が年上だぞ!?」
「そんなの関係ない」
きっぱりと言い切ったジョングクくん。
ぎゅっと、先ほどとは違う胸の痛みがした。
それは彼にキツく抱き締められるような心地のいい感覚。
「ジョングガ、Aヌナが好きなの?」
テヒョンの小さな声がかすかに聞こえる。
「俺はAが好きです。ヒョンと付き合ってた時から。ずっと」
…ジョングクくん。
ぽたりと落ちる涙は悲しみの涙なんかじゃない。
幸せを感じたから溢れた涙。
「俺はヒョンよりヌナの事を分かってる。ちゃんとヌナを愛してあげられる。
ヒョンみたいに、ヌナを悲しませるようなことは絶対にしない」
「ジョングガ…」
「…テヒョナ、そろそろ帰ろっか」
「え、、あ、うんっ」
慌てて私は階段を降り、リビングへ。
その後すぐにドタバタと階段を降りる3人の足音。
気付かれないように必死に息を潜めた。
でも溢れてくる涙は止まらない。
嗚咽を堪えるのに必死だった。
玄関では3人の声が聞こえる。
「ヒョン、ごめんなさい。あんなこと、言って…」
「いや、いいよ。俺も悪かったし」
「ジミナはまだヌナが忘れられないだけだから、許してやってねグガ!」
「馬鹿テヒョナ!!
…まあ、うん、ほんとに。ジョングガ、Aのこと頼むよ」
「うんっ」
じゃあね、と言う声と共に扉が開く音。
そしてジョングクくんだけが戻って来た。
唐突にリビングの扉が開く。
「ヌナっ!?」
パッと明かりが付いて、ソファの上にしゃがんでいた私を見つけたジョングクくんは一目散にやってくる。
頰が赤い。
具合わるいんじゃないの?
熱出て来たんじゃない?
大丈夫?
そう言いたいのに、私の口から出るのは嗚咽だけ。
「ヌナ…聞いてたの?」
コクリと頷くと、ひどくショックを受けたように顔を歪めた。
「どこから、どこまで聞いたの?」
「ジミンが、私のこと…話し出した所から…」
「ヌナ…っ」
ぎゅうっ、とジョングクくんが私を抱きしめる。
「ジョングクくんが、私を、好きって言ってくれた所まで…」
「…」
「ジョングクくん、ありがとう…」
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ソラン(プロフ) - kuniさん» コメントありがとうございます!最後まで読んでもらえて光栄です^o^こちらこそ、ありがとうございました! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
kuni(プロフ) - 感動とドキドキをありがとうございました☆ (2018年9月3日 18時) (レス) id: 55aa09b952 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - まななさん» コメントありがとうございます^ ^最後まで読んでもらえて嬉しいです!これからも頑張ります〜! (2018年8月31日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
まなな - すごく感動しました!!ずっと、ドキドキもしてました笑いいトーリーですね!これからも頑張ってください!ファイティン! (2018年2月18日 21時) (レス) id: edb3cec0d0 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - てぃもさん» コメントありがとうございます!読み返してもらえるなんて感激です!! (2018年1月3日 15時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2017年4月9日 1時