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有名な仏国寺と石窟庵は明日ということで、暗くならないうちに私たちは街の中を歩いた。
突然現れる歴史的建造物。
古墳。
お寺。
街は静かで心地いい。
2人でパンフレット片手にぶらぶら歩く。
老夫婦みたいだけど、楽しい。
遊園地やデートスポットを回るのもいいけれど、こうやって2人の時間を感じながら楽しむのもいいものだ。
「ジョングクくん、あそこ!美味しそうだよ!」
「また食べさせようとして…」
「いいじゃん!箱で買ってはんぶんこしよ?」
「…はい!」
「残りはホテルで食べよう」
「はんぶんこ」と聞いた瞬間にハッとしたような顔になって、すぐにパッと笑う笑顔が眩しい。
名物のチャルボリパンを購入。
袋から取り出してお店の横で食べてみる。
「おいしい〜」
ジョングクくんは無言でもぐもぐ。
あぁ、可愛い。
好き。
「ほら、もっと食べなよ」
「!」
「はい」
「いいですって!ホテルで食べるの無くなりますよ?」
「いいよ〜」
最初は戸惑っていたものの、さっきの私の言葉が効いたのか素直に受け取って食べる。
美味しそうに頰を赤らめて一生懸命食べている。
ジョングクくんは本当に美味しそうに食べる。
それに幼い。
18歳に見えない大きな体。
不釣り合いに可愛い顔。
ぼうっと見つめているとばっちり目が合ってしまった。
慌てて目をそらす。
なんだか恥ずかしい。
「俺の食べてるところ、そんなに好きですか?」
「う、うん」
「ふふ」
もぐもぐしながら、照れたように笑う彼に胸がきゅんと締め付けられる。
今更ながらドキドキする。
私今、好きな人と旅行してるんだ。
隣にいて、笑ってくれている。
そう考えると幸せで、どこかくすぐったい。
「あ、ヌナ、ねこ」
「ほんとだ」
「デカくないですか?」
「デカイね…」
「ふふっ」
「ふふふふっ」
「あははは」
なんでこんな事で笑ってるんだろう。
なんで彼といるとこんなに楽しいんだろう。
普通の事が、当たり前の事が輝き出す。
全てが違って見える。
「Aヌナといるとなんか楽しいです」
「それ今私も思ってた。ジョングクくんといるとすごく笑っちゃう」
「俺らってやっぱり運命ですよ」
「彼女いるくせに。軽い男だねー」
「違いますって」
「なにそれ」
「まぁまぁ。妬かないでください」
「妬いてないよー!」
「妬いてるじゃないですか」
まっすぐな道。
2人だけ。
追いかけっこみたいに走った。
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ソラン(プロフ) - かんなさん» コメントありがとうございます〜!テヒョンの作品も読んでくれたんですね(;o;)嬉しいです!更新は遅くなってしまいますが、これからも頑張ります!! (2017年4月4日 1時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - 今までのテヒョンのお話も大好きで読んでいました。ソランさんの作品はキュンとしてすごく切なくて引き込まれます。これからも楽しみにしています。頑張ってください(*^^*) (2017年4月3日 0時) (レス) id: 7593378807 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - みいさん» コメントありがとうございます!本当ですか〜!嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2017年3月28日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - しーさん» コメントありがとうございます!嬉しいです〜(;o;)お気遣い感謝します!これからも頑張ります! (2017年3月28日 23時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
みい - やばい。めっちゃキュンキュンする。 続きが楽しみです! (2017年3月28日 19時) (レス) id: aeaf7211ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2017年3月6日 14時