「全てを捧げてくれた人＋」23 ページ45
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新居は普通のアパートに決まった。
海の近くだ。
前回の家から持ってこれる物は持ち込んだし、ペットもOK。
ブイはさっそく家中を走り回っている。
「店が遠いのが難点だ」
「車買う？とか？」
言ってから後悔した。
自分のお金で生活しているわけではないのに。
けれど彼は特に気にした様子もない。
「いいね、買っちゃう？」
「でも特定されちゃって、居場所がバレちゃうかも」
「確かに…」
ダンボールだらけの部屋で2人唸る。
「自転車買おうよ！」
彼はポン！と手を叩いて顔を上げた。
自転車、高校生の時以来乗っていないけれど。
「いいね。買おうか」
「うん。2人乗りできるやつ」
「私多分、運転できない」
「俺がする」
わはは、と笑って彼はさっそく私の手を引っ張って外へ出た。
ブイはお留守番だ。
自転車屋さんは割と近くにあった。
スマートフォンのナビで進んでいくとおじいさんが昔からやっているようなこじんまりとしたお店が現れる。
「ここだ」
「たくさんあるね」
中古品から新品まで。
可愛い色のものに目が行ってしまう。
そんな私に彼は気づいたようだ。
「君が選んでいいよ」
「ほんと？」
「うん」
外だから彼の表情は少し硬めだ。
でも繋いだ手から優しさはしっかりと感じられる。
お言葉に甘えて好みの自転車を探す。
「これがいい」
私が選んだのは空色の自転車。
少し遠くから私たちを見守っていた店員のおじいさんが笑った。
「毎度ありがとう。君たち夫婦？」
ふうふ。…夫婦。
どう答えよう…。
私が戸惑って口を噤んでいると彼が言葉を発した。
「はい」
その一言だけで私の身体中が歓喜に震えた。
夫婦って言ってもいいんだ。
そんなに彼は私を愛してくれているんだ。
嬉しい。
私も彼が大好きだから。
愛しているから。
あまりの嬉しさと少しの恥ずかしさでぽけんとしている間に、お会計を済ませた彼が自転車を押しながら私の元までやって来た。
「帰ろっか。これ乗って」
「うん！」
珍しく大きな声で返事をすると、彼はおもしろそうに笑った。
後ろの座る場所に腰を下ろす。
ちょっと不安定で怖い。
「ちゃんと捕まってて」
「わ、わかった」
あまりの怖さに彼の腰にぎゅっと抱き着いた。
細くて驚いて、思わず力を極限まで緩めるとクスリと彼が笑った。
「なに、どうしたの？」
「細すぎて」
「大丈夫だからもっとくっついて」
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優桜(プロフ) - 更新してくださって本当にありがとうございます(T ^ T)そして完結おめでとうございます！！2人が幸せになれてとっても嬉しいです…！！ソランさんの新作楽しみにしてますね！ (2020年12月7日 17時) (
レス) id: bc64499760 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - 皆さんお待たせいたしました！本当に長いことお待たせしてしまい、大変申し訳ないと思っております…(T ^ T)全部書き切ることができてスッキリしました！またちょっとお休みして、新作も書き進めて行けたらなと思います。ですのでまたいつかお会いしましょう〜 (2020年12月7日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
うみ - この作品、一番好きだったので続編とても嬉しかったです。ほんとにキュンキュンします。テテカッコ良すぎです！更新頑張ってください！ (2018年3月5日 7時) (レス) id: 8e28afa81e (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 両作品とも、ほんとに大好きです(;Д;)(;Д;) (2017年9月27日 16時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
どぅぶ - キュンキュンしすぎて死にそうです。大変ですが更新頑張ってください!! (2017年9月11日 2時) (レス) id: 1b67b0d428 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラン
| 作成日時：2017年5月14日 21時
