「全てを捧げてくれた人＋」13 ページ35
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のんびりとした毎日が続いた。
だらだらとする昼下がりと、テンションが高くなってしまう夜。
ぼんやり顔で2人無言のまま食事をする朝。
ループする毎日だ。
「花火もらった」
ある日、彼は散歩から帰ると片手に花火のセットを持っていた。
よく売っているやつだ。
「誰に？」
「俺がよく散歩の途中で寄る団子屋さんに」
「あ、そうなの？」
そんなお店があるなんて知らなかった。
問えば2週間前に見つけたらしい。
「そこの店員さんがくれた。日本の花火だって」
「日本？」
「そう。うるさくないし、すごく綺麗なんだってさ」
「へえ…。どこでやる？」
「庭？」
「火事にならないかな？」
「水用意してやろう」
「うん」
私たちはバケツに水を用意して、ブイが危なくないようにしっかり首輪にひもをつけて庭に出た。
もう8月だ。
蒸している昼間とは違って今は夜風が涼しい。
視線を下げるとさっそくライターで花火の先端に火をつけている彼が見える。
恐る恐る、といった様子でビクビクしている背中が可愛らしい。
シュッ、
「、あっ」
小さな音の後に、本当に花のように綺麗な火花が飛び散る。
日本の花火はなんて綺麗なんだろう。
「すごい！ねえ！見てた？」
「うん。見てた！すごく綺麗だね」
「君もやりなよ」
ずいっと出された花火を握る。
彼がそっとライターを近づけてくれた。
シュッ
とまた音が鳴って、その次の瞬間には激しく火の花が咲き乱れる。
彼は口をポワンとあけて、それをただ見ている。
「すごい」
「ね…。すごいね」
「日本に行きたい」
「私日本語わからないよ」
「勉強しよう」
「そうだね」
今度逃亡するなら日本だ。
なんて話をした。
花火はあっという間に終わってしまった。
残念そうな彼。
「もうもらえないの？」
「たぶん。日本旅行のお土産って言われたから」
いつの間にそんな仲よくなっていたんだろうか…。
「女の人？男の人？」
「ん、女だよ。20歳なんだってさ」
「…ふーん」
なるほど…、
やっぱり彼はモテる。
しかたない。
そう言い聞かせた。
私への想いが冷めたら、その子の元へいくんだろうか。
なんて余計なことを考えてしまう自分が情けない。
「どうしたの？」
「え？」
「悲しそうな顔してたから」
そう言って彼は私の手をぎゅっと握った。
それだけで嬉しかった。
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優桜(プロフ) - 更新してくださって本当にありがとうございます(T ^ T)そして完結おめでとうございます！！2人が幸せになれてとっても嬉しいです…！！ソランさんの新作楽しみにしてますね！ (2020年12月7日 17時) (
レス) id: bc64499760 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - 皆さんお待たせいたしました！本当に長いことお待たせしてしまい、大変申し訳ないと思っております…(T ^ T)全部書き切ることができてスッキリしました！またちょっとお休みして、新作も書き進めて行けたらなと思います。ですのでまたいつかお会いしましょう〜 (2020年12月7日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
うみ - この作品、一番好きだったので続編とても嬉しかったです。ほんとにキュンキュンします。テテカッコ良すぎです！更新頑張ってください！ (2018年3月5日 7時) (レス) id: 8e28afa81e (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 両作品とも、ほんとに大好きです(;Д;)(;Д;) (2017年9月27日 16時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
どぅぶ - キュンキュンしすぎて死にそうです。大変ですが更新頑張ってください!! (2017年9月11日 2時) (レス) id: 1b67b0d428 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラン
| 作成日時：2017年5月14日 21時
