「全てを捧げてくれた人+」06 ページ28
.
興奮して飛び跳ねるブイの相手をしてあげてから、彼に連れられて近くのスーパーまでやってきた。
少し値段が安めで、昼を過ぎた変な時間帯だというのに割と混んでいる。
サラリーマンなのか、スーツを着た男の人がぷらぷらしている。
スーツの男でちょっと強面の人を見るとびくりとしてしまう。
まさか私たちを追って…?
そう考えてしまう癖がついている。
ジミンは今どこでなにをしているんだろう。
テヒョンが生きていると知ったら、また殺しに来るのだろうか?
いや、私の父が死んでるのだから依頼は無効になっているはず。
では私たちを追ってくる人間として、考えられるのはジョングクくらいだ。
彼は滅多にスーツなんて着ないし。
どこかに紛れていてもきっと気づけない。
「どうしたの?」
「え?」
「顔が変」
「酷い…」
ぐっと身を曲げて私の顔を覗き込む彼。
顔が変、と言いつつ私の頰をつついた。
私の大好きな彼の指が視界に入る。
長くて綺麗で男らしい指。
思わず口に咥えてしまいたくなる。
変かな?
私っておかしいのかな。
でもそれだけ彼が欲しくてたまらない。
やっと会えたんだもの。
やっと私のモノになった。
そして私は彼のモノになった。
もう我慢しなくていい。
苦しむ事もない。
でも…
再開してから私たちはキスしかしていない。
なんで抱いてくれないんだろう。
なんであの時、ジョングクの話なんてしたんだろう。
なにも言わずに、滅茶苦茶に抱いて欲しかった。
私の視線の先には魚たち。
新鮮な魚をぼーっと眺めている彼は何を考えているのか分からない。
前からそうだったから仕方ないのかもしれない。
大量に食材を買い込んでまた家に帰って来る。
特に変化はなく安堵する。
寝ていたらしいブイは私たちの帰宅でまた興奮状態だ。
「ブイ、今日は忙しいね」
そう言って嬉しそうにブイを抱く彼。
何か物足りない。
「ねえ」
「ん?」
「傷、残ってるの?」
「跡なら残ってる」
「見せて」
「え?なんで?」
「見たいの」
彼は素直に服をめくって傷を露わにした。
みぞおち付近にある傷跡。
他にも、たくさんの傷跡。
全部私を守るために出来た跡。
じわりと涙が浮かんできた。
突然涙を流した私を見て彼はギョッとする。
「どうしたの?大丈夫?」
「うん…」
そっと彼の傷に触れた。
彼はとてもあたたかかった。
.
「全てを捧げてくれた人+」07→←「全てを捧げてくれた人+」05
1143人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優桜(プロフ) - 更新してくださって本当にありがとうございます(T ^ T)そして完結おめでとうございます!!2人が幸せになれてとっても嬉しいです…!!ソランさんの新作楽しみにしてますね! (2020年12月7日 17時) (レス) id: bc64499760 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - 皆さんお待たせいたしました!本当に長いことお待たせしてしまい、大変申し訳ないと思っております…(T ^ T)全部書き切ることができてスッキリしました!またちょっとお休みして、新作も書き進めて行けたらなと思います。ですのでまたいつかお会いしましょう〜 (2020年12月7日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
うみ - この作品、一番好きだったので続編とても嬉しかったです。ほんとにキュンキュンします。テテカッコ良すぎです!更新頑張ってください! (2018年3月5日 7時) (レス) id: 8e28afa81e (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 両作品とも、ほんとに大好きです(;Д;)(;Д;) (2017年9月27日 16時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)
どぅぶ - キュンキュンしすぎて死にそうです。大変ですが更新頑張ってください!! (2017年9月11日 2時) (レス) id: 1b67b0d428 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ソラン | 作成日時:2017年5月14日 21時