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『奴らは亡霊だ、君を引きずり込もうとする』
金色の輝きが浜辺に座り込む彼の肩越しから現れて、そちらを向くとふっと消えていった。陽光を其の儘閉じ込めたかのような輝かしい髪、それにこの話し方と声───これはあの夢でフォスフォフィライトへと語りかけて来たスファレライトのものであった。
雪に埋もれつつ座り込んだフォスフォフィライトは、身動きの取りづらい雪の中で、慌ててアクロアイトから借りたスファレライトの身体の一片をあしらったペンダントを、胸元から乱暴に引き出した。
「スファ！？ スファだよね！？ ねぇアンタークー！ ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけどー！」
「なんだ、また流氷が喋ったか？」
渋々と此方に寄ったアンタークチサイトが、1メートル程離れた先からフォスフォフィライトの動揺した顔を覗き込んだ。「ちがっ、いやえっと、それもそうなんだけど！ 」慌てふためく新人に、透明な冬担当者は眉をひそめた。早く言わないか、と。
当人は、人差し指を弄んで、横に置いた黒い鋸の様な剣を一瞥してから、赤金の輝かしい光を放つペンダントを掲げた。
「今このペンダントが喋ったんだ」
一時細められた透明な睫毛が、すぐさま見開いた。
「スファレライトのペンダントか」
「そう、だけど」新人の返答を聞くと、黒い手袋に包まれた自らの手を顎に当てて、暫く考え込むようにして、なるほどな、と、それから得心が行ったようにフォスフォフィライトに向き直った。
「何か知ってるの？」
「あぁ、数百年前に、アクロアイトからそのペンダントについて聞いたことがある。“昼は寝ていて、夜に起きる”と、それで、昼間に貯めた太陽の光を使って、何時も夢を見せてくる、とも言っていた。最も、話すと怖がられるからと、他の仲間にはその首飾りのことは秘密にしているようだったが。そうか、だからアクロがあんな風に眠ったまま────フォスフォフィライト、少しそのペンダント、いいか？」
何事かと方を上下させた新人は、言われるがままに、黄金のペンダントをアンタークチサイトの元へと掲げた。当人は、太陽の光に、顔を近付けて
「私は団体行動についてはよく分からない、煩わしいものとさえ思っている。だからこれについては私がどうこう言えるものでは無いが、アクロアイトをあまり困らせるな。………ほんとうは分かっているだろう」
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─────
続く
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
