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雪を掻き、流氷を割り、寝ている仲間の寝相を正して、今年二人の冬担当の一日は終わる。一日を積み重ねていくごとに、不器用なフォスフォフィライトも仕事を覚えてゆき、夕暮れには全身を駆け巡っていたような罅も次第に少なくなっていった。彼の目まぐるしい成長において、やはりその目を見張ったアンタークチサイトだったが、自分も彼より硬度の低い者の一人であることをふっと思い出して、得心した。
本来、フォスフォフィライトにはこれだけのことが可能であったのだ。生まれ持っての彼の能力では及ばずとも、ある程度の適切な武器と知恵を手に入れることさえ叶うのならば。
アクロアイトの齎した知恵と
この足さえあれば…
アンタークチサイトという先輩へ思いつく限りの質問をし、丁寧に応えられたそれを少しずつ吸収する。覚えは悪いが、一歩二歩遅れてでも必ず付いてくるフォスフォフィライトに、白い服を着た冬担当者も自ずと熱心に教鞭を摂る羽目になっていた。
各言えども、やはりどれをどうしようと、流氷割りを行った後の腕の罅だけは消えることは無かった。どれだけ正確な知識で流氷を割っても、その衝撃が彼の腕に伝われば、内部から罅割れを起こして、夕方には学校に帰る途中で、脆く雪の上に崩れ去ってゆく。
アンタークチサイトは何も言わなかったが、
彼自身がこの脆い腕の存在を忌まわしく思っていた。自分自身の思い通りにいかないこの身体には慣れていたはずだったが、こうまでも自分の成長を邪魔されては、例え生まれつき自分に備わった身体だとしても、煩わしいことこの上ない。
フォスフォフィライトの心は今までにない葛藤の荒波に晒されていた。
“噛み切ってあげようか？”
流氷を二三度割り、雪の積もった浜辺で休息と腕の修復をしていたところ、何処からかこの提案が頭に降り掛かってきた。否、どちらかと言うよりかは、下から湧いてきたという方が正しいのかもしれない。
“足も結局良くなった”
流氷がこちらに語りかけて来たのだ。
こうして心の揺らいだ者に、流氷が話しかけてくる事を、予め先生やアンタークチサイトから忠告を受けてはいたが、いざ改めて話し掛けられると、如何にも不可思議であった。
『耳を貸してはいけないよ』
今度は誰かの声が降り注ぐ。
何処かで聞いたことのある声だった。
太陽の麓で、太陽のように輝いていたあの失き者の生物が感じる陽光のような温かい声─────
夢の中のあの声…
「スファ…？」
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
