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＿＿＿なぁ、アクロ…
「アクロ…」
もうずっと昔の話だ。その日は晴天で、風が心地いい日だった。
「なに？」
僕は、月人の注目の的にされる挙句、長時間外に出ることが出来きず、いつもの様に室内で安静に過ごしているスファレライトの元に、仕事の合間、しょっちゅう会いに行っていた。何時も隣で他愛もない外の世界の話や、室内でどんな事が起きたか、何をしていたのか。偶に哲学や、生物学、歴史について彼と肩を寄せあって話していた。
そう、彼は、スファレライトは、とても物知りだった。僕と話す前迄は毎度の様に本を読んでいたり、月人についてや見回りについてのレポートを読んでいたりで、外に出ていないにも関わらず、外の世界の事を、それも僕より良くよく知っていた。だが、多分僕達見回り担当が良く見ている景色を見ることに、彼は憧れていたのだろう＿＿。そんな彼は、一々会いに来る僕を気遣ってか、良く言っていた。
「わざわざ、俺に会いに来なくても良いんだぞ。オマエが見回りしてる処から此処って、遠いだろ…？」
「済まない、迷惑だったか…」確か、毎度そうやって僕に声を掛けるスファレライトに、あの日疑問を持った僕はこう言っていた。其れを聞くと、一瞬酷く驚いた顔をしてから、いきなり必死になって、ぶんぶんと大きく首を振っていた。
「違う！！ 全然、そうじゃない！ オマエが此処に来てくれるのはすっごく嬉しいし、話してくれると楽しい…。だが、俺は只でさえろくにオマエの力に慣れていない。相棒なのに…。だから、アクロに迷惑だけは絶対に掛けたくないんだ！」
彼奴は…僕の事ばかりだったと、彼がいなくなってから皆から聞いた。
何時も、僕を心から心配して、傷付く事を恐れていたと、そう話された。スファレライトを失ってすぐの僕にとって、彼の話は凄まじい程に残酷で、とても真面に聞けるものではなかったが思い返せば、そう言えば、スファレライトというやつは優しくて、聡明で、頼りになる奴だったと思い出せる。
「俺の欠片を持っていてくれ」と、あまりにも酷い呪いの言葉を残して行った哀しみを、憎悪を、覆い隠す事が出来た。
＿＿結局僕はスファに何もしてやれなかった。ずっと学校で独りの彼を救ってやることなど微塵もできなかった。挙句、月に行かせてしまった僕は、目も当てられないほどの出来損ないで、月人を切ることの出来ない臆病者で…
弱者である＿＿＿
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
