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半透明のうなじから飛び出たセシウムが、血管のように宿主に纏わりつき、その体を握り潰さんとしている。
それを前にして、呆然と立ち尽くすフォスフォフィライトは、降りしきる黒と、それを鮮やかに彩る金色の輝きを暫く無心で眺めて、それから悲痛の叫びにはっと我に返ると、凄まじい速度で矢を避けつつ、檻のような銀色に囲まれたアクロアイトに接近した。
「アクロ…！安心して、僕が君を助けるから！」
そう言うと、薄荷色の幼子は黒い布に覆われた両腕で、透明な身体を何とか抱えると、再び凄まじい速度で走り出した。
様々な色の一閃が後を追うように救援に駆け付ける。
「スファ…ごめん、ごめん、ごめん、許して」未だ謝罪の言葉を呟き続ける唯一の恩師を、唯一の理解者を、フォスフォフィライトは切迫した様子で宥めた。
アクロアイトの青く輝く瞳に、遠い昔に見ていた、あのあどけない表情が写った。
「アクロ！もうここなら大丈夫だから！ アクロ────」
唐突に、無色の年長者は、狂ったようにフォスフォフィライトの肩を掴んだ。その勢いに耐えかねた彼の肩が静かな悲鳴を上げる。
「ねぇ“スファ”！！ 変なんだ……君のからだが
幾多の銀色の涙が、新人の白いの頬を濡らし、絡み付くように身体が引き寄せられた。
「アクロ！？ ねぇアクロ！！」
自身の名を呼ぶ声に反応して、新人のか細い肩を掴む半透明の指が、僅かに震えた。無慈悲な太陽の光に晒された銀色が、あるいは金のように輝いて、アクロアイトの頭上に広がる初冬の空を塞ぎ込み、そして、綱ほどの一筋を残して、彼の中に戻って行く。
それから、何かに怯えたように、古き友のように愛しい彼を突き放し、その美貌が映えんばかりに美しく笑った。
「ごめんね、“フォス”」
一本の金糸が、余りにも美しい彼に、縋るように巻き付いて、透明な体を散り散りに引き裂いた。
向こうの丘で、柔らかい光を放つ月人の船が気散している。まるでそれは、彼が初冬の空の下で、何かを悲しみながら、粉々に自壊して行ったのを祝福しているようにも思える。
フォスフォフィライトは暫くその破片を見据えると、徐にその中で一番大きな破片を拾い上げて、自分の腕が軋むまで抱き締めた。
「僕の方こそ＿＿＿＿
ごめん、アクロ……」
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“僕は弱い”
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
